IFRSの海運に及ぼす影響についてのインタビュー記事が

日本海事新聞(10月28日発刊)に掲載されました。

 

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2010年10月

日本海事新聞(10月28日発刊)にIFRSの海運に及ぼす影響についてのインタビュー記事が掲載されました。

IFRS当社のシニアパートナーである長縄順一(公認会計士・税理士)と、グローバル・アドバイザリーグループ所属の神部亜美(公認会計士)が、日本海事新聞よりインタビューを受け、今後、IFRS(国際会計基準)が海運にどのような影響を与えそうかについてコメントしております。


IFRS

先行導入の欧米にらみ早期対応を

~どうなる海運への影響 ④

---IFRS(国際会計基準)の公開草案が8月に公表された。海運にどのような影響を与えそうか。
 「公開草案ではリース取引について新たな基準が示された。海運や航空、不動産などでオフバランス扱いだったオペレーティングリースがファイナンスリース同様に一括して資産・負債計上することが求められている。使用権モデルという概念が導入されたためで、この考え方に即すと海運業界での定期用船も資産・負債への計上、つまりオンバランスになる可能性がある」


リース取引に該当

---海運業界では定期用船が使用権モデルに当たらないとする議論がある。会計実務で使用権モデルはどう扱われるのか。
 「公開草案を素直に読む限り、定期用船がリース取引に当たるか、当たらないかといったことはあまり問題になっていない。重要なのは、資産を使用させることが、リース取引に当たると示されたことだ。使用権モデルは定期用船か裸用船かといった区別なく、使用権モデルでリース取引として一括処理するよう求めていると考えられる」

---定期用船とは運航船社(オペレーター)が船舶所有者である船主から船舶を一定期間借りる運航形態。定期用船のオンバランス化で減価償却の取扱いはどうなるのか。  「IFRS」は基本的に上場企業が対象となっており、非上場企業は対象外となっている。海運業界でみると、オペレーターは上場企業だが、船主は非上場という関係になっている。定期用船がオンバランスされた場合、借り手であるオペレーターは現在の定期用船料のうち、オペレーティングリースの未経過リース料に相当する部分についてリース資産として資産計上した上で減価償却をとることになると想定される」  「一方、貸し手である船主は非上場とはいえ、会社法上では負債200億円以上の大会社に該当する会社もある。ただし、現状では国内でこうした非上場の大会社にIFRSがビジネス上も含めてどこまで求められるかは流動的だ。恐らく船主側はこれまで通り減価償却を計上することになろうが、IFRS適用となる上場企業と非上場会社である貸し手との会計処理のバランスは考慮していない」

---公開草案ではさらに混合契約という会計処理の方針が示されている。
 「混合契約は公開草案では結合された契約と呼ばれている。実務的な視点で見ると、この混合契約の処理が示されたことが定期用船がオンバランスされる可能性が生ずる根拠の一つとなっている。定期用船は、賃貸借契約に該当する裸用船(BBC)と船員の配乗、管理を提供する役務サービスを組み合わせた性格を持つ」  「オペレーターは役務サービスは賃貸借契約に該当しないため、リース取引に当たらないと主張している。しかし、混合契約という処理では、役務サービスは損益計算書(PL)で費用処理し、船舶の価値部分については定期用船の残存期間を前提に裸用船料の合算を示すことで資産・負債計上を可能としている」


実態に即し検証を

---海運業課ではオペレーターは船舶の「指図権」しかなく、実態面でリース取引に当たらないと主張している。
 「IFRSは原則主義を採用しており、経営者の判断で定期用船をオフバランス扱いにすることも理論的には可能だ。現状では海運に限らず、航空、不動産など比較的、IFRS導入で影響が大きいと予想される業界でも統一した見解は形成されていない。従って、海運業界の主張する指図権がどの程度、実務に影響するかは未知数な面がある」  「ただし、いくら原則主義とはいえ、欧米の会計実務とかけ離れた処理を日本だけが採用することは考えにくい。経営の判断で定期用船をオフバランスすることは可能だが、会計監査が通らない懸念もある。今後、海運業界で定期用船について、例えば期間などで区分してどう実態に合わせて会計処理していくか検証していく必要もある」


財務指数悪化懸念

---定期用船がオンバランスされた場合の影響は。
 「資産・負債が膨らむため、純資産の部との比較ではD/Eレシオ(負債資本比率)などの財務指数が悪化する懸念がある。オペレーターの定期用船比率が上昇すれば有利子負債も増加するだろう。国際会計基準審議会(IASB)は公開草案について12月中旬までコメントを受け付けているが、公開草案はすでにファイナル(最終版)に近い」  「IFRSはあくまで投資家や株式市場の目線で作成されている。日本の海運業界としては欧州や米国のオペレーターが定期用船をどう会計処理していくかが一つの指標となる。日本の強制適用は2015-16年予定だが、先行導入される欧米の状況などをみて、早めに対応していくことが求められている」

掲載形態につきましてはこちらをご覧ください ⇒ 日本海事新聞 PDF


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