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同族会社が発行する私募債に係る利子の取扱いについて

平成25年度税制改正により、少人数私募債の利子が源泉分離課税から総合課税の対象とされ、平成28年1月1日以後に支払われる利子から取扱いが変わりました。漠然と「同族会社の役員が受け取る私募債の利子=総合課税の対象」というイメージを持っていたのですが、実際には「役員かどうか」が判定基準ではありません。今回はその点について、具体例をまじえてご紹介します。

1.少人数私募債の利子の取扱い

同族会社が発行する少人数私募債の利子で、個人に対して支払われるものの取扱いは以下のようになります。

(1) その同族会社の判定の基礎となった株主等が支払いを受けるもの

支払時の源泉徴収 所得税15.315%(利子割は徴収不要)
所得税確定申告 総合課税として申告が必要

(2) 上記(1)以外の者が支払いを受けるもの

支払時の源泉徴収 所得税15.315%及び利子割5%
所得税確定申告 源泉分離課税により課税関係が完結するため申告は不要

ここで注意したい点は、総合課税の対象となる(1)の「同族会社の判定の基礎となった株主等」の範囲です。「同族会社判定の基礎となった株主等」とは、「特定個人」と「その親族等」と規定されていて、特定個人に該当するかどうかは、その同族会社の第1順位から第3順位の株主グループの所有割合の状況と、その人がどの株主グループに属しているかにより決まります(下記2参照)。

2.総合課税の対象範囲

(1) 特定個人

株主グループの所有割合の状況 特定個人
第1順位の株主グループの所有割合が50%超となる場合 第1順位の株主グループに属している株主等
第1順位と第2順位の株主グループの所有割合を合計した場合にその所有割合がはじめて50%超となるとき 第1順位又は第2順位の株主グループに属している株主等
第1順位から第3順位までの株主グループの所有割合を合計した場合にはじめて50%超となるとき 第1順位から第3順位のまでのいずれかの株主グループに属している株主等

(2) 特定個人の親族等

① 特定個人の親族
② 特定個人と婚姻の届出をしていないが事実上婚姻関係と同様の事情にある者
③ 特定個人の使用人
④ 上記①~③以外の者で、特定個人から受ける金銭等により生計を維持しているもの
⑤ 上記②~④の者と生計を一にするこれらの者の親族

3.具定例

(1) 前提

  1. X社:資本金1,000万円(100株/@10万円)で同族会社
  2. 株主構成
    ・代表取締役A氏 700万円(70株)
    ・取締役B氏 150万円(15株)
    ・取締役C氏 150万円(15株)
     ※A氏、B氏、C氏は親族等の関係にありません。
  3. X社は、平成27年3月に利付少人数私募債3千万円を発行しています。当該私募債はA氏、B氏、C氏が引き受けており、年2回、私募債に係る利息を受領しています。

(2) 特定個人の判定

A氏の所有割合が70%ですので、第1順位の株主グループの所有割合が50%超となります。したがって、第1順位の株主グループに属するA氏は特定個人に該当しますが、B氏及びC氏は特定個人には該当しないことになります。

(3) 利子の取扱い

支払時の源泉徴収 所得税確定申告
A氏 所得税15.315% 必要(総合課税)
B氏、C氏 所得税15.315%及び利子割5% 不要(源泉分離課税)

なお、上記例で、株主構成が下記の場合は、第1順位と第2順位の株主グループの所有割合の合計ではじめて50%超となりますので、第1順位と第2順位の株主グループに属するA氏とB氏が特定個人に該当し、C氏は特定個人には該当しないことになります。

  1. 株主構成
    ・代表取締役A氏 400万円(所有割合40%)
    ・取締役B氏 400万円(所有割合40%)
    ・取締役C氏 200万円(所有割合20%)

参考条文:租税特別措置法第3条第1項、同法施行令第1条の4第3項、同法施行規則第2条第2項

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  • 岩崎 貴子

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