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メガソーラーの税金はどこへ

これまで発電事業を行う会社は一部の電力会社に限られており、その会計・税務処理は限られた会社や会計事務所が行っていました。
2012年の再生可能エネルギーの固定買取制度の開始に伴い、発電事業を行う会社が増えたことにより、その会計・税務処理は広く一般的に認識されるようになりました。
当社が100社前後のメガソーラーSPCを受託している中で、気になる部分について触れていきたいと思います。

メガソーラー案件は自治体が関与することも多く、自治体側からの要請によりSPCの本店をメガソーラーが所在する自治体に設けることが多くあります。一方で、特に関係者からの要請がないSPCについては、管理会社がオペレーションをしやすい場所(大半が東京都に集中している)に本店を設置しており、本店とメガソーラーの設置場所が異なるケースがあります。
メガソーラーに課せられる法人事業税において、複数の都道府県に「事務所又は事業所」を設けて事業を行う法人については、それぞれの都道府県に課税権があり、分割基準により事業税を分けることになります。この分割基準は業種により異なっており、電気供給業については固定資産の価格で分けることになっています。一見すると、広大な土地を利用しメガソーラー設備を設置している都道府県に多くの税額を払い、本店だけがある都道府県にはほぼ税額を納める必要がないため、合理的に見えます。

ただし、この分割基準は「事務所又は事業所」の固定資産の価格で分けることを前提としているため、メガソーラー設備がこの「事務所又は事業所」に該当するかによって分割方法が異なってきます。
ただ、結論としてメガソーラー設備はこの「事務所又は事業所」に該当しないため、本店所在地の都道府県に事業税の全ての課税権があることになります。
これは、「事務所又は事業所」の要件として、事業に対して役務を提供する人が存在する必要があり、メガソーラー設備の設置場所が無人の場合にはそもそも「事務所又は事業所」に該当しないためです。
法人住民税も同様に「事務所又は事業所」が存在しない場合には課されないため、メガソーラー設備の設置場所の自治体は、メガソーラー設備に対する償却資産税しか税収を得ることができないことになります。

メガソーラー事業は、人間ではなく発電設備が事業活動を行っているものの、その事業活動には設置場所の自治体のインフラが活用されていることは疑いがなく、その事業規模からもその設置場所に課税権があることが妥当と考えられますが、現状の税制では本店所在地にほぼ全ての納税がなされているのが実情です。

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  • 山中 宏之

税制の三原則

税制の三原則は「公平・中立・簡素」と言われています。同等の経済力のある人に等しい負担を求める公平、個人や企業の様々な経済活動に対しての中立、制度の理解を容易にするための簡素、憲法で納税の義務を定めていますので、税制の根幹はこの三原則に支えられていることによって納税者の支持を得られるのではないかと思います。

租税特別措置法は、その時代の社会経済状況の合わせて一定の目的を達成するために設けられる特別な法律であり、税制三原則「公平・中立・簡素」の例外と言われています。少子高齢化が進み産業構造の転換などを推し進める政策手段の一つとして、また東日本大震災のような災害復興支援のために租税特別措置が設けられています。近年の法人税改正は諸外国と比較して高率と言われる法人税率を逓減しつつ課税ベースの拡大を図る方向を目指していますので、数ある租税特別措置もその効果等を測定して縮小又は廃止される方向にあります。

資産流動化・証券化分野で活用されている特定目的会社や投資法人は、多様な投資商品の提供を可能にし、資金供給を円滑化することを目的として平成10年に誕生した法人形態です。租税特別措置法の定めにより一定の要件を満たせば支払配当金を損金算入し、ビークルと投資家間の2重課税を排除する機能があります。これらの特別措置がどれくらい活用されているかご存知でしょうか?

特別措置 平成23年度 平成24年度 平成25年度
適用件数 適用総額
(億円)
適用件数 適用総額
(億円)
適用件数 適用総額
(億円)
特定目的会社 428 1,548 501 2,660 489 2,870
投資法人 71 1,580 76 1,960 90 2,542

上記は平成27年10月に会計検査院が「租税特別措置の適用状況の透明化等に関する法律」に基づき、租税特別措置の実態調査した結果を国会へ提出した「報告書」からの抜粋です。400件超の安定した適用件数で、特定目的会社による投資活動が浸透していることがうかがわれます。適用総額は3年間で約1千億円超の増加がみられますので、平成24年から利益確定による売却が進んできているのではないかと推測できます。

ちなみに適用件数、適用金額のトップは「中小企業者等の法人税率の特例」であり、平成25年度では適用件数約74万件、適用総額約2兆7千億円でした。減収額の尺度では「試験研究を行った場合の法人税額の特別控除」が6,240億円で、3年間で2倍強の伸びとなっています。

「公平・中立・簡素」の例外として数多くの租税特別措置が様々な政策目的を達成するために置かれていることが「報告書」からわかります。毎年の税制改正のみならず、その運用状況に関心を寄せることも税の仕事をする身として必要であると感じます。法人税申告書に添付する「適用額明細書」がしっかり活用されておりますので。

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  • 宮里 猛

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