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利子割の改正

既にご存じの方も多いと思いますが、平成25年度の税制改正により平成28年1月1日以後に支払いを受けるものから、利子について課される利子割の取扱いが変わりました。
まず、法人が受け取る利子については、平成28年1月1日以後に支払いを受けるものから利子割は徴収されないこととなりました。

利子の支払額や源泉徴収税額等の通知を受けていれば間違えることはないでしょうが、銀行の預金利息等について、入金額から割り戻して利息額を計算する場合には、利子割の5%を含めないで計算するよう注意が必要です。

また、個人が支払いを受ける利子については、平成28年1月1日以後に支払いを受けるものから、国債、地方債や上場公社債等の利子は、「特定公社債等の利子」として配当割が課されることとなり、「特定公社債等」以外の利子は、「一般公社債等の利子」として利子割が課されることとなりました。

配当割も利子割も、5%の税率で特別徴収されることは同じですが、配当割の申告納入先が支払いを受ける人の住所地であるのに対し、利子割の申告納入先は支払をする会社の事務所等の所在地であり、申告納入先が異なります。本来、利子割として申告納入すべきものを配当割として申告納入してしまったり、特別徴収する必要のないものについて申告納入してしまった場合には、申告納入した会社において還付請求の手続きが必要となります。


同族会社などの中小企業については、利子割の特別徴収義務者となるケースはそれほど多くはないと思いますが、少人数私募債を発行している場合には利子の支払時に特別徴収義務が生じます。

私募債の利子については所得税の課税方式が源泉分離課税であったため、総合課税による税率と分離課税による税率との差による節税策として用いられていましたが、平成25年度の税制改正により、同族会社が発行した社債の利子で同族会社の判定の基礎となった株主等が支払いを受けるものは総合課税の対象とされることとなり、この節税策は封じられることとなりました。

少人数私募債の利子についても、平成28年1月1日以後に支払われるものから取扱いが変わっていますが、この変更後の取扱いが少しわかりにくくなっています。
まず、原則的な取扱いとしては、少人数私募債の発行年月日によってそれぞれ次の取扱いとなります。

<平成27年12月31日以前発行分>

「特定公社債等の利子」として、配当割課税

<平成28年1月1日以後発行分>

「一般公社債等の利子」として、利子割課税

つまり、平成27年12月31日以前に発行したものに係る利子については、5%の税率で特別徴収して、支払いを受ける人の住所地に配当割を納入し、平成28年1月1日以後に発行したものに係る利子については、5%の税率で特別徴収して、発行会社の事務所等の住所地に利子割を納入することになります。

これだけであればとくに難しくはありませんが、発行者が同族会社である場合には、上記の取扱いとはならず、私募債の発行年月日にかかわらず、一律「一般公社債等の利子」として利子割課税の対象となります。

さらに、同族会社が発行した私募債に係る利子のうち、所得税で総合課税の対象となる同族会社の判定の基礎となった株主等が支払いを受けるものについては、利子割も配当割も徴収されないこととなります。
この場合、所得税の確定申告をすることによって、住民税の所得割が課税されることとなります。

以上、平成28年1月1日以後に同族会社が支払う私募債の利子についての源泉徴収や特別徴収の取り扱いをまとめると、下記のようになります。

<法人に対する支払い>

所得税(復興特別所得税含む)15.315%を徴収(利子割は徴収不要)

<個人に対する支払い>

  • 同族会社の判定の基礎となった株主等の場合

    所得税(復興特別所得税含む)15.315%を徴収(利子割は徴収不要)

  • 上記以外の場合

    所得税(復興特別所得税含む)15.315%及び利子割5%を徴収

節税策として私募債を発行していた同族会社の場合は、支払先が同族会社の判定の基礎となった株主等に該当するケースが多いと考えられますが、私募債の利子を支払う場合には、支払者は同族会社かどうか、同族会社である場合には、支払の相手先が誰であるかの確認が必要です。

  • 国際税務グループ
  • グループマネージャー
  • 税理士
  • 安田 智之

『あんたプロなんだろ!なんとかしろよ!』

私の大して長くない社会人経験で、クライアントから言われた一番衝撃的な言葉です。

 弊社で行っている主なサービスである「資産流動化(ファンドビジネス)」は、いろいろな方が関わって運営されています。案件を組成する「アレンジャー」、期中の運営管理に係る判断をされる「アセットマネージャー」、融資という形で資金調達をしてくださる「レンダー」、案件に投資して利益を得ようとする「投資家」など。この中で私たちは「プロフェッショナル」として、関係者の皆様のニーズを最大限満たし、案件の円滑な運営を行うことのできるよう、ご報告やご提案、場合によっては関係者間の調整などを行っています。
 このような業務をさせていただいている中で、非常に苦労させられることがあります。それは、「ニーズ(希望)を教えていただけないこと」と「現在の状況を十分に言っていただけないこと」です。

 皆さんが病気になってお医者さんにかかるとき、何も言わず、診察もしないで治療を受けることはないと思います。現在の体調や既往歴、あればアレルギーなどを説明した上で治療を受けると思います。あるいは、「先進医療を駆使して病状の完治をしたい」のか「保険の範囲内で出来る治療をしたい」のか等、治療に関しての希望を仰ることもあるかと思います。ご存知の通り、個人の状況に応じて病気の診療法がことなる場合…最悪、診療の効果が正反対になってしまう可能性があるからです。

 しかしながら、ビジネスを行うにあたって、弊社へ依頼をいただく際には「うまくやっておいて」というような曖昧なご依頼を受ける場合がしばしばございます。(ちなみにこちら、会社ですとよく上司と部下の間で見受けられるやりとりですが、「(部下が行うであろう対応について想定の上で)うまくやっておいて」というのと、「(いまいちよくわからないけど)うまくやっておいて」というのでは、対応の難易度が全く異なってくることは皆様ご存知かと思われます。)

 私たちもお医者さんと同じで、案件の状況や関係者の希望、法令や契約上の制約などを総合的に確認した上で出来る限りのご提案等をさせていただくようにさせていただきたいと思っています。しかしながら、いただいた情報が限られている場合にはご提案の内容が至極表面的、一般的なものにとどまったり、最悪クライアントの想定に反して損害を及ぼすようなものとなったりする可能性が出てきてしまいます。
このようなことのないよう、ご自身の希望や案件に係る状況をもれなく、詳しくお話していただきたいと思います。
「若造だから信用できない」などというご意見もあるかと思いますが、それでも餅は餅屋、社内の優秀な知恵を結集して回答をさせていただくよう、日々努力をいたしておりますので…。

なお、冒頭の言葉をいただいたクライアントからは今でも継続してお取引をさせていただいております。
  • ファイナンシャルビジネスサービスCグループ
  • スタッフ
  • 税理士
  • 池部 晃一郎

パナマ文書その後所感

世界を騒がせたパナマ文書騒動からもう4か月が経過しました。

日本での世界情勢ネタとしては、イギリスのEU脱退に完全にかき消されたような印象ですが、まだまだくすぶり続けているようです。

多国籍企業、有名政治家やスポーツ選手、俳優などがペーパーカンパニーを設立し租税回避のほか、蓄財したり、様々な取引に利用しているということで大騒ぎになりました。マスコミ報道にとっても格好の材料でした。
顧客名がエクセルで提供されていたこともあり、私どもも念のため弊社クライアントが含まれていないか目を通しましたが、幸いにも含まれていませんでした。一説によると、香港でこういったペーパーカンパニーが銀行口座付きで売買されており、しかも銀行口座はオフショアの本人確認の緩い銀行が使用されているそうです。

私どもの会計事務所でも証券化の案件で租税回避地、例えば英国領ケイマン諸島を使ったスキームも多々あります。それ自体違法性が問われることはないですが税優遇措置を設けることで新たな海外投資を呼び込みたい新興国と、それらを利用し複雑化することで規制の強化に追いつかなくしようとする利用者での思惑が一致し、今後も租税回避地はなくならないというのが一般的な見解のようです。

ただ、確かにこういった報道が流れると、掲載されているというだけでグレーならぬ黒との疑いがかかります。関与しているというだけで信用失墜は逃れないでしょう。また大々的に報道されて実名リストが税務当局の知るところになれば、税逃れか否かの判断のためにもいろいろと調査が入るはずです。

オフショア投資で税務上のメリットは享受できたとしても最近の報道の偏りなどを見ていると、ネット上でバッシングされることも多々あり、税金とは違うコストとして重くのしかかります。掲載された方は少なくとも胃が痛いはずです。現にアイスランドの首相はこのケースで罷免にまで追い込まれました。考えるべきは税金だけではなく、脱税に加担しているという世間からのレッテルや心理的負担を含めたトータルコストのマネジメントというべきでしょう。

  • 代表取締役社長
  • 公認会計士・税理士
  • 松澤 和浩

消費税の免税点制度及び簡易課税制度の適用制限

平成28年度の税制改正において、免税点制度及び簡易課税制度が適用されない場合として、高額特定資産を取得した場合が追加されました。免税点制度や簡易課税制度は、小規模零細事業者の事務負担や徴税コストに配慮する観点から設けられているものですが、その趣旨に沿わない利用(いわゆる消費税還付スキームなど)に対処するため、ここ数年で次々と見直しが行われています。免税点制度及び簡易課税制度の主な適用制限についてまとめると次のようになります。

  • 免税点制度とは

    零細事業者の事務処理能力や徴税コストなどを考慮して、基準期間(*1)の課税売上高が1千万円以下の事業者(基準期間がない場合も含む)について納税義務を免除する制度をいいます。
  • 簡易課税制度とは

    消費税は本来、課税売上に係る消費税額から、課税仕入れに係る消費税額を控除して納税額を計算します(原則課税または一般課税といいます)。ただし、中小事業者の事務負担を考慮して、基準期間の課税売上高が5千万円以下である課税期間については、簡易課税制度選択届出書を所定の期日までに提出することで、課税仕入れに係る消費税額を、実際の金額ではなく、課税売上に係る消費税額を基礎とした簡便な方法により計算することが認められます。これを簡易課税制度といいます。
  • 免税点制度及び簡易課税制度の主な適用制限

    免税点制度や簡易課税制度の対象となる事業者であっても、下記に該当する場合は、その適用が制限されます。

 

課税事業者を選択した場合 課税事業者選択届出書を提出した日の属する課税期間の翌課税期間(提出日の属する課税期間が事業開始日の属する課税期間の場合は、その課税期間)から2年間は課税事業者が強制適用されます。
特定期間(*2)の課税売上高及び給与支払額が1千万円を超える場合 その課税期間は課税事業者となります。
新設法人(*3)に該当する場合 基準期間がない事業年度に含まれる課税期間は、課税事業者が強制適用されます。
特定新規設立法人(*4)に該当する場合 基準期間がない事業年度に含まれる課税期間は、課税事業者が強制適用されます。
上記①、③及び④により課税事業者が強制適用される課税期間中に調整対象固定資産(*5)の課税仕入れを行い、かつ、その仕入れた日の属する課税期間について原則課税で申告した場合 調整対象固定資産の課税仕入れを行った日の属する課税期間の初日から原則として3年間は課税事業者が強制適用されます。また、この期間中、簡易課税の適用を受けることもできません。
課税事業者が、原則課税で申告する課税期間中に、高額特定資産(*6)の課税仕入れを行った場合 高額特定資産の課税仕入れを行った日の属する課税期間の翌課税期間から、高額特定資産の課税仕入れを行った日の属する課税期間の初日以後3年を経過する日の属する課税期間までの各課税期間においては、課税事業者が強制適用されます。また、この期間中、簡易課税の適用を受けることもできません。
課税事業者が、原則課税で申告する課税期間中に、自己建設高額特定資産(*7)に係る建設等費用の課税仕入れ(免税事業者である課税期間、簡易課税の適用がある課税期間に生じたものは除く)の累計額が1千万円以上となった場合 自己建設高額特定資産に係る建設等費用の課税仕入れ(免税事業者である課税期間、簡易課税の適用がある課税期間に生じたものは除く)の累計額が1千万円以上となった課税期間の翌課税期間から、その建設が完了した課税期間の初日以後3年を経過する日の属する課税期間までの各課税期間においては、課税事業者が強制適用されます。また、この期間中、簡易課税の適用を受けることもできません。
  • (*1) 基準期間:個人事業者についてはその年の前々年、法人についてはその事業年度の前々事業年度をいいます。
  • (*2) 特定期間:個人事業者についてはその年の前年1月1日~6月30日、法人については、原則としてその事業年度の前事業年度開始の日以後6月の期間をいいます。
  • (*3) 新設法人:その事業年度の基準期間がない法人のうち、その事業年度開始日の資本金が1千万円以上の法人をいいます。
  • (*4) 特定新規設立法人:その事業年度の基準期間がない法人(新設法人を除く)のうち、5億円超の課税売上高を有する事業者により直接または間接に支配(発行済株式等の50%超を保有)される法人をいいます。
  • (*5) 調整対象固定資産:棚卸資産以外の資産で建物、構築物、機械装置等のうち、その税抜金額が100万円以上のものをいいます。
  • (*6) 高額特定資産:棚卸資産及び調整対象固定資産のうち、その税抜金額が1千万円以上のものをいいます。
  • (*7) 自己建設高額特定資産:棚卸資産もしくは調整対象固定資産として自ら建設等をした高額特定資産をいいます。

【注】上記は概要になりますので、詳細は法令等をご確認ください。
 
これらの他、相続、合併、分割があった場合なども注意が必要です。
適用制限が増えて、どんどんややこしくなっているように思います。いっそのこと免税点制度も簡易課税制度もなくして、全員課税事業者・原則課税にしてしまえばすっきりするのにな~なんて思うこともあります。もちろんそんな短絡的な話ではないのでしょうが。。。いずれにせよ、このような改正に対応できるよう日々勉強が必要です。
 

  • ファイナンシャルビジネスサービスAグループ
  • 税理士
  • 岩崎 貴子

株式を売買する際の取得費

本ブログ執筆時の日経平均株価は15,919.58円でした。
2015年12月末の日経平均株価が19,033.71円なので、約16%下落しています。
投資家の目線で考えると、株式投資されている方は、今年に入ってから約16%の損をしているといえます。
ただ、銘柄によっては株価が数倍に増えているものもあるので、このような状況下でも一部の投資家は資産を増やしていることと思います。
 
東京証券取引所などに上場する株式を、個人が売買する際の取得費について考えてみます。
株式を含む有価証券を購入した場合の取得費は、所得税法施行令第109条によって下記のように定められています。
購入した有価証券:その購入の代価(購入手数料その他その有価証券の購入のために要した費用がある場合には、その費用の額を加算した金額)
下記の例をもとに計算してみます。
 
(例)
・取得時の株価 1円
・取得株式数 100,000株
・売買を取り扱う証券会社への購入手数料 100円
・売却時の株価 1円
・売却株式数 100,000株
・売買を取り扱う証券会社への売却手数料 100円
・他の株式売買による当年の売買損益 300,000円
 
取得費 1円×100,000株+100円=100,100円
1株当たりの取得費 100,100円÷100,000株=1.001円
 
となり、1株当たりの取得費に端数が生じます。
この端数の処理に関しては別途規定(『租税特別措置法(株式等に係る譲渡所得等関係)の取扱いについて』37の10・37の11共-14)があるため、1円未満の端数は切り上げとなります。
上記の例の場合、1株当たりの取得費が2円となります。
 
この規定が適用されると面白いことになります。
 
上記の例における購入及び売却取引についての損益と資金の流れは、下記のようになります。

損益 資金の流れ
取得費 100,100円 取得時の支出 △100,100円
1株当たりの取得費 1.001円→2円 (1円×100,000株+100円)
端数調整後の取得費 △200,000円 売却時の入金 99,900円
(2円×100,000株) (1円×100,000株-100円)
売却時の株価 1円 源泉所得税還付 20,335円
売却株式数 100,000株 (100,100円×20.315%)
売却手数料 △100円 差引 20,135円
損益 △100,100円 (△100,100円+99,900円+20,335円)
(△200,000円+1円×100,000株-100円)

 
即ち、株価1円で取得した株式を株価1円で売却するだけで損失が発生し、他の株式取引等で利益が発生していれば、その利益発生時の源泉所得税相当額が還付されることになります。
 
なぜ、このような結果になるのか。
取得した株式については、株式の一部を売却することは可能なので、売却時の譲渡原価算出のため、1株当たりの取得費を算出する必要があります。
また、千円未満、百円未満、円未満などの端数処理については納税者有利になるような法制度になっています。
これらの状況が、このような結果につながると考えられます。
 
このように、税法上においては、株式売買の損益を計算するため、その取得費の取扱いについて定めています。
 
ただ、株式の本来の趣旨は売買することではなく、その株式発行会社を応援することだと思います。よって、もし応援するような会社があれば、その株式を長期保有し、株主総会などにも出席して、長期にわたって応援していきましょう。
 
6月は1年の中で一番多く株主総会が開催される月です。
 
 
 

  • ファイナンシャルビジネスサービスEグループ
  • グループマネージャー
  • 鈴木 悟史

修正にはご用心

普段、税の世界で使われている言葉は、「堅苦しい」「仰々しい」「とっつき難い」という印象をもたれることが多く、大事な内容であればあるほど、なるべく「聴きやすく」「理解しやすい」平易な言葉でご説明をするように心がけております。

そのような堅苦しい固有の言葉と同様に、もともと一般的に使われている言葉が税務でも使われることがあるのですが、その言葉が税務独特の重要な意味を持つことがあります。
たとえば「修正」という言葉。

普段もよくつかわれる言葉ですが、税務においても「修正」という手続きがあります。
これに似た「更正」という手続きがあるのですが、この「更正」と「修正」をほぼ同義で捉えられている方がいらっしゃいます。これら「修正」と「更正」は似て全く非なるもの、といえるものですので留意が必要です。

いずれの意味も「過去に提出された申告書に記載された所得金額、税額などをあるべき金額に訂正すること」を指しますが、その違いは以下のようになります。

「更正」→課税側が職権により申告書等をあるべき内容に訂正することで、納税者不利となる更正についてはその理由が更正通知書に付記されます

「修正」→納税側が自己の計算により、申告書等を「納税者不利な」あるべき内容に訂正することをいい、「納税者有利な修正」はあり得ません(注)

この差が顕著になるのは、税務調査等で課税側が不利となる指摘を受けた場合です。

「更正」により納税者不利となる訂正がされる場合、課税側は納税者に対しその理由を明確にする(理由の付記)必要があり、また、納税者の側は課税側の指摘(更正処分)に不服がある場合には不服申立てや訴訟といった「救済措置」を受けることができます。

一方、「修正」により訂正した場合には、課税側の指摘を納税側が「納得、認めて」手続きを行ったと判断されるため、以後の救済措置を受けることができなくなります。

課税側からすれば、更正理由の付記等の手続きがあったり、シロクロを早くつけて調査を早期終了させたい意向から「修正」による訂正手続きを進めてくるものです。
しかし、お互いの主張が平行線であったり、課税側の指摘に対して何かしら疑義がある場合には、むやみに「修正」依頼に応じることなく、「更正」処分の手続きを取るよう課税側に要求することも大事な選択のひとつといえます。

ただし「ごもっとも」な内容の指摘まで修正に応じずいたずらに更正手続きを要求することは、互いの信頼関係を悪化させ問題をこじらせる(課税側も人間ですので・・)要因ともなりますので、その選択判断に対しては多くの方面から検討いただくことをお勧めいたします。

※注
この場合は、課税側に対し「更正の請求」という手続きを行うことになります。
「更正の請求」ができる期間は原則5年間となります。

  • 税務室
  • 室長
  • 税理士
  • 井出 清彦

キャッシュレス社会と税

皆さんはご自分の財布に普段いくらくらいの現金を入れているでしょうか。
あるアンケートによれば、社会人の平均金額は1万3千円弱だそう。
最近ではそのほか財布におそらくクレジットカードや各種ポイントカード、プリペイドカードなど、またSuicaやPasmo、Edyといったいわゆる電子マネーがあるでしょう。

クレジットカードは1950年にアメリカで設立されたダイナースクラブを始まりに、その10年後には丸井百貨店が丸井のみで利用できる「クレジット・カード」を発行したのが日本でのクレジットカードの歴史であるようですから50年以上前ですね。
そして電子マネーとしては2001年にEdyが、2004年にJR東日本がSuicaをスタートしてから瞬く間に利用が広がり、本当に現金で支払う機会はだいぶ減ったのではないかと思います。
現金は持ち運ぶのに嵩張る、銀行で口座から引き出す必要がある(しかも時間帯によっては手数料を取られる!?) 、盗難の危険があるなどのデメリットがありますから、今後も非現金マネーの利用は広がっていくことでしょう。いわゆる「キャッシュレス社会」です。

キャッシュレスは利用者にとって便利だから広がっているというだけではありません。
日本政府として、2020年開催予定の東京オリンピック・パラリンピックを見据えて訪日観光客を増やす「観光立国」を目指す政策の一環としてキャッシュレス社会の推進を掲げています。

ところでクレジットカードや電子マネーの利用明細を眺めていてドキッとした経験はないでしょうか。
「あの時のレストランはこんなに高かったかな・・・」「この支払って何だろう・・・?」
不正利用をされてしまった可能性を除けば、いつどこで何に支払ったか、は電子データとしてきっちり記録されています。
また消費としての支払記録だけではなく、近年では銀行口座からの送金や受け取りも当然電子データとして記録され自分や自分の会社の取引をつぶさに見ることができますね。

これは自分で財産を管理するという観点から言えばとても利便性が高いのですが、第三者にも比較的簡単に把握されてしまう可能性が高いとも言えます。
例えばクレジットカード会社や電子マネーの発行会社が消費動向を把握することもできるでしょうし、悪意を持った者が他人の財産をどうにかしてしまおうということも考えられます。
「第三者」として国民の財産を把握したいのは悪者だけではありません。税金の「取りっぱぐれ」をできるだけ防ごうという政府にとっても電子記録はとても有用なものです。
人や企業がどこからお金を受け取りどう支払ったかという資金の流れが透明化されますので、悪意をもった取引の隠蔽は非常に難しいことになります。

さらに2015年10月からマイナンバーが国民1人につき1つ付与されることになりました。
2018年から銀行口座開設にもナンバーが必要になり、2020年を目処に銀行口座とマイナンバーの紐付けが義務化されることが決定されています。
特に飲食店の従業員さんや現金で賃金を受け取るような職種については、その現金の受け取りを政府に知られない様にする事はより一層難しくなっていくことでしょう。
銀行口座の入出金がマイナンバーとの紐付けにより明らかになるだけでなく、貯蓄税が開始されるのではないかという予測も囁かれ始めました。貯蓄の一定の残高に対して課税されるというものが貯蓄税です。

クレジットカードや電子マネーでの取引は全て記録化され、銀行口座の入出金はおろか
残高にも課税強化の波が押し寄せる・・・。
それなら現金取引にしてしまえばいいではないか、という考え方なのかはわかりませんが、
昨年あたりから家庭用金庫の売れ行きが好調だそうです。
2016年に入ってマイナス金利の影響もあり、どうせ持つならタンス預金が一番とばかりに現金保有が増えているのでしょう。
ただしもし本当に貯蓄税が導入されたとすれば、銀行に預金せず現金で持っていれば大丈夫でしょうか。
いやいや、きっと抜け穴は程なく塞がれるのが課税制度の常ですから、多額の現金を銀行口座から引き出して使途が明らかでなければタンス預金をしているとして「みなし貯蓄税」なんてものが設定されるかもしれませんね。
キャッシュレス社会化というのは生活が便利になる反面、今までよりも税金を多く払わなければいけないようなそんな状況を生み出すのかもしれません

  • 代表取締役副社長
  • 公認会計士・税理士
  • 粟国 正樹

メガソーラーの税金はどこへ

これまで発電事業を行う会社は一部の電力会社に限られており、その会計・税務処理は限られた会社や会計事務所が行っていました。
2012年の再生可能エネルギーの固定買取制度の開始に伴い、発電事業を行う会社が増えたことにより、その会計・税務処理は広く一般的に認識されるようになりました。
当社が100社前後のメガソーラーSPCを受託している中で、気になる部分について触れていきたいと思います。

メガソーラー案件は自治体が関与することも多く、自治体側からの要請によりSPCの本店をメガソーラーが所在する自治体に設けることが多くあります。一方で、特に関係者からの要請がないSPCについては、管理会社がオペレーションをしやすい場所(大半が東京都に集中している)に本店を設置しており、本店とメガソーラーの設置場所が異なるケースがあります。
メガソーラーに課せられる法人事業税において、複数の都道府県に「事務所又は事業所」を設けて事業を行う法人については、それぞれの都道府県に課税権があり、分割基準により事業税を分けることになります。この分割基準は業種により異なっており、電気供給業については固定資産の価格で分けることになっています。一見すると、広大な土地を利用しメガソーラー設備を設置している都道府県に多くの税額を払い、本店だけがある都道府県にはほぼ税額を納める必要がないため、合理的に見えます。

ただし、この分割基準は「事務所又は事業所」の固定資産の価格で分けることを前提としているため、メガソーラー設備がこの「事務所又は事業所」に該当するかによって分割方法が異なってきます。
ただ、結論としてメガソーラー設備はこの「事務所又は事業所」に該当しないため、本店所在地の都道府県に事業税の全ての課税権があることになります。
これは、「事務所又は事業所」の要件として、事業に対して役務を提供する人が存在する必要があり、メガソーラー設備の設置場所が無人の場合にはそもそも「事務所又は事業所」に該当しないためです。
法人住民税も同様に「事務所又は事業所」が存在しない場合には課されないため、メガソーラー設備の設置場所の自治体は、メガソーラー設備に対する償却資産税しか税収を得ることができないことになります。

メガソーラー事業は、人間ではなく発電設備が事業活動を行っているものの、その事業活動には設置場所の自治体のインフラが活用されていることは疑いがなく、その事業規模からもその設置場所に課税権があることが妥当と考えられますが、現状の税制では本店所在地にほぼ全ての納税がなされているのが実情です。

  • パートナー
  • 執行役員
  • 税理士
  • 山中 宏之

税制の三原則

税制の三原則は「公平・中立・簡素」と言われています。同等の経済力のある人に等しい負担を求める公平、個人や企業の様々な経済活動に対しての中立、制度の理解を容易にするための簡素、憲法で納税の義務を定めていますので、税制の根幹はこの三原則に支えられていることによって納税者の支持を得られるのではないかと思います。

租税特別措置法は、その時代の社会経済状況の合わせて一定の目的を達成するために設けられる特別な法律であり、税制三原則「公平・中立・簡素」の例外と言われています。少子高齢化が進み産業構造の転換などを推し進める政策手段の一つとして、また東日本大震災のような災害復興支援のために租税特別措置が設けられています。近年の法人税改正は諸外国と比較して高率と言われる法人税率を逓減しつつ課税ベースの拡大を図る方向を目指していますので、数ある租税特別措置もその効果等を測定して縮小又は廃止される方向にあります。

資産流動化・証券化分野で活用されている特定目的会社や投資法人は、多様な投資商品の提供を可能にし、資金供給を円滑化することを目的として平成10年に誕生した法人形態です。租税特別措置法の定めにより一定の要件を満たせば支払配当金を損金算入し、ビークルと投資家間の2重課税を排除する機能があります。これらの特別措置がどれくらい活用されているかご存知でしょうか?

特別措置 平成23年度 平成24年度 平成25年度
適用件数 適用総額
(億円)
適用件数 適用総額
(億円)
適用件数 適用総額
(億円)
特定目的会社 428 1,548 501 2,660 489 2,870
投資法人 71 1,580 76 1,960 90 2,542

上記は平成27年10月に会計検査院が「租税特別措置の適用状況の透明化等に関する法律」に基づき、租税特別措置の実態調査した結果を国会へ提出した「報告書」からの抜粋です。400件超の安定した適用件数で、特定目的会社による投資活動が浸透していることがうかがわれます。適用総額は3年間で約1千億円超の増加がみられますので、平成24年から利益確定による売却が進んできているのではないかと推測できます。

ちなみに適用件数、適用金額のトップは「中小企業者等の法人税率の特例」であり、平成25年度では適用件数約74万件、適用総額約2兆7千億円でした。減収額の尺度では「試験研究を行った場合の法人税額の特別控除」が6,240億円で、3年間で2倍強の伸びとなっています。

「公平・中立・簡素」の例外として数多くの租税特別措置が様々な政策目的を達成するために置かれていることが「報告書」からわかります。毎年の税制改正のみならず、その運用状況に関心を寄せることも税の仕事をする身として必要であると感じます。法人税申告書に添付する「適用額明細書」がしっかり活用されておりますので。

  • パートナー
  • 執行役員
  • 税理士
  • 宮里 猛

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