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アメリカ税制改正

 2017 年12 月にアメリカで税制改革法案「Tax Cuts and Job Acts」が成立しました。法人税率が35%から21%へと大幅な引き下げを含む改正は、アメリカで事業を行っている日系企業にとって、また、本税制改正を機にアメリカへの事業進出を検討する日系企業にとっても大きな関心事かと思われ、本ブログにおいて数回にわたり改正内容を見ていきます。今回は法人税及び国際課税に関する主要な改正項目の概要を確認します。なお本記載内容は弊事務所が加盟するPrime Global のメンバファームであるClayton & McKervey(https://claytonmckervey.com/)のニュースレターに編集及びコメントをしております。

  1. 法人税関連の主要改正項目概要
    1. 法人税率の引き下げ

      最高35%の累進税率が適用される法人税率が、2018 年度より一律21%へ引き下げ。

    2. 20%税率のAMT(Alternative Minimum

      Tax:代替ミニマム税)廃止通常の法人税と各種優遇措置を所得計算上考慮せず計算したAMT のいずれか高い税額を納付する仕組みとなっていましたが、法人税率の引き下げにより2018 年度よりAMT は廃止されました。

    3. 特定の固定資産の即時償却

      2017 年9 月27 日以降に取得した特定の固定資産について100%即時償却が適用され、2022 年度まで継続されます。2023 年から段階的に償却率が減少していきます。

    4. 支払利息の損金算入制限

      過大支払利子税制に替わり、支払利息の控除制限が設けられました。制限額は受取利息+調整後課税所得(EBITDA)の30%の合計額となり、制限された支払利息は無期限の繰越が可能となります。

    5. 国内生産活動控除の廃止

      国内生産者に与えられていた適格米国生産活動利益の9%控除が廃止されました。

    6. 繰越欠損金(NOL)の繰越期限及び使用制限

      繰越欠損金の繰越期限が20年から無期限に延長される一方、繰越欠損金の繰戻還付制度は廃止されました。また繰越欠損金の控除額は課税所得の80%に制限されました。

    7. 研究開発費の資本化償却

      研究開発費は発生年度に即時費用化することができますが、2022 年以降の課税年度から研究開発費は資本化が強制され、その後5 年間(米国外の研究開発費は15 年間)で償却されます。

  2. 国際課税関連の主要改正項目概要
    1. 資本参加免税の導入

      従前は全世界所得課税方式により外国からの配当金についても35%の法人税率により法人税が課税されたのち、外国税額控除制度により二重課税を調整する課税方式でしたが、米国法人が10%以上の株式を保有する外国法人(10%外国法人)から受領する配当については免税所得となります。保有期間として配当支払日の365 日前から731日間に継続して365 日を超えて10%外国法人の株式を保有する必要があります。なお米国源泉の配当、配当支払国で損金算入となる配当は適用されません。

    2. 国外未配当利益に対する強制課税

      資本参加免税の導入に伴い、海外子会社に留保されている未配当利益については配当されたものとみなして一定の適用税率により一時に課税されます。

    3. グローバル無形資産低課税所得(Global Intangible Low-Taxed Income:GILTI)の導入

      無形資産の国外移転を防止する目的で導入され、特定外国子会社(CFC)の課税対象所得のうち、CFC の超過収益所得をアメリカ株主の所得に合算します。

    4. 国外無形資産所得(Foreign-Derived Intangible Income:FDII)控除の導入

      輸出関連企業への優遇措置として導入され、無形資産を所有する米国法人が獲得したFDII につき37.5%の所得控除を認める制度です。FDII に対する実効税率は13.125%((1-37.5%)×21%)と優遇されます。2026 年以降の所得控除率は21.875%に減少します。

    5. 税源浸食濫用防止税(Base Erosion and Anti Abuse Tax:BEAT)の導入

      大規模な多国籍企業(過去3 年間のグループの平均総収入が5 億ドルを超え、かつ、税源浸食率が3%以上もの)について、下記計算に基づく追加課税が導入されました。
      ① 修正課税所得(通常課税所得+税源浸食支払)×10%
      ② 通常法人税額(一定の税額控除適用前の税額。2026 年以降は税額控除適用後税額)
      ③ BEAT=①-②

参考情報
Tax Cuts and Job Acts に関する Clayton & McKervey のニュースレター
https://claytonmckervey.com/insights/

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