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キャッシュレス社会と税

皆さんはご自分の財布に普段いくらくらいの現金を入れているでしょうか。
あるアンケートによれば、社会人の平均金額は1万3千円弱だそう。
最近ではそのほか財布におそらくクレジットカードや各種ポイントカード、プリペイドカードなど、またSuicaやPasmo、Edyといったいわゆる電子マネーがあるでしょう。

クレジットカードは1950年にアメリカで設立されたダイナースクラブを始まりに、その10年後には丸井百貨店が丸井のみで利用できる「クレジット・カード」を発行したのが日本でのクレジットカードの歴史であるようですから50年以上前ですね。
そして電子マネーとしては2001年にEdyが、2004年にJR東日本がSuicaをスタートしてから瞬く間に利用が広がり、本当に現金で支払う機会はだいぶ減ったのではないかと思います。
現金は持ち運ぶのに嵩張る、銀行で口座から引き出す必要がある(しかも時間帯によっては手数料を取られる!?) 、盗難の危険があるなどのデメリットがありますから、今後も非現金マネーの利用は広がっていくことでしょう。いわゆる「キャッシュレス社会」です。

キャッシュレスは利用者にとって便利だから広がっているというだけではありません。
日本政府として、2020年開催予定の東京オリンピック・パラリンピックを見据えて訪日観光客を増やす「観光立国」を目指す政策の一環としてキャッシュレス社会の推進を掲げています。

ところでクレジットカードや電子マネーの利用明細を眺めていてドキッとした経験はないでしょうか。
「あの時のレストランはこんなに高かったかな・・・」「この支払って何だろう・・・?」
不正利用をされてしまった可能性を除けば、いつどこで何に支払ったか、は電子データとしてきっちり記録されています。
また消費としての支払記録だけではなく、近年では銀行口座からの送金や受け取りも当然電子データとして記録され自分や自分の会社の取引をつぶさに見ることができますね。

これは自分で財産を管理するという観点から言えばとても利便性が高いのですが、第三者にも比較的簡単に把握されてしまう可能性が高いとも言えます。
例えばクレジットカード会社や電子マネーの発行会社が消費動向を把握することもできるでしょうし、悪意を持った者が他人の財産をどうにかしてしまおうということも考えられます。
「第三者」として国民の財産を把握したいのは悪者だけではありません。税金の「取りっぱぐれ」をできるだけ防ごうという政府にとっても電子記録はとても有用なものです。
人や企業がどこからお金を受け取りどう支払ったかという資金の流れが透明化されますので、悪意をもった取引の隠蔽は非常に難しいことになります。

さらに2015年10月からマイナンバーが国民1人につき1つ付与されることになりました。
2018年から銀行口座開設にもナンバーが必要になり、2020年を目処に銀行口座とマイナンバーの紐付けが義務化されることが決定されています。
特に飲食店の従業員さんや現金で賃金を受け取るような職種については、その現金の受け取りを政府に知られない様にする事はより一層難しくなっていくことでしょう。
銀行口座の入出金がマイナンバーとの紐付けにより明らかになるだけでなく、貯蓄税が開始されるのではないかという予測も囁かれ始めました。貯蓄の一定の残高に対して課税されるというものが貯蓄税です。

クレジットカードや電子マネーでの取引は全て記録化され、銀行口座の入出金はおろか
残高にも課税強化の波が押し寄せる・・・。
それなら現金取引にしてしまえばいいではないか、という考え方なのかはわかりませんが、
昨年あたりから家庭用金庫の売れ行きが好調だそうです。
2016年に入ってマイナス金利の影響もあり、どうせ持つならタンス預金が一番とばかりに現金保有が増えているのでしょう。
ただしもし本当に貯蓄税が導入されたとすれば、銀行に預金せず現金で持っていれば大丈夫でしょうか。
いやいや、きっと抜け穴は程なく塞がれるのが課税制度の常ですから、多額の現金を銀行口座から引き出して使途が明らかでなければタンス預金をしているとして「みなし貯蓄税」なんてものが設定されるかもしれませんね。
キャッシュレス社会化というのは生活が便利になる反面、今までよりも税金を多く払わなければいけないようなそんな状況を生み出すのかもしれません

  • 代表取締役副社長
  • 公認会計士・税理士
  • 粟国 正樹

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