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修正にはご用心

普段、税の世界で使われている言葉は、「堅苦しい」「仰々しい」「とっつき難い」という印象をもたれることが多く、大事な内容であればあるほど、なるべく「聴きやすく」「理解しやすい」平易な言葉でご説明をするように心がけております。

そのような堅苦しい固有の言葉と同様に、もともと一般的に使われている言葉が税務でも使われることがあるのですが、その言葉が税務独特の重要な意味を持つことがあります。
たとえば「修正」という言葉。

普段もよくつかわれる言葉ですが、税務においても「修正」という手続きがあります。
これに似た「更正」という手続きがあるのですが、この「更正」と「修正」をほぼ同義で捉えられている方がいらっしゃいます。これら「修正」と「更正」は似て全く非なるもの、といえるものですので留意が必要です。

いずれの意味も「過去に提出された申告書に記載された所得金額、税額などをあるべき金額に訂正すること」を指しますが、その違いは以下のようになります。

「更正」→課税側が職権により申告書等をあるべき内容に訂正することで、納税者不利となる更正についてはその理由が更正通知書に付記されます

「修正」→納税側が自己の計算により、申告書等を「納税者不利な」あるべき内容に訂正することをいい、「納税者有利な修正」はあり得ません(注)

この差が顕著になるのは、税務調査等で課税側が不利となる指摘を受けた場合です。

「更正」により納税者不利となる訂正がされる場合、課税側は納税者に対しその理由を明確にする(理由の付記)必要があり、また、納税者の側は課税側の指摘(更正処分)に不服がある場合には不服申立てや訴訟といった「救済措置」を受けることができます。

一方、「修正」により訂正した場合には、課税側の指摘を納税側が「納得、認めて」手続きを行ったと判断されるため、以後の救済措置を受けることができなくなります。

課税側からすれば、更正理由の付記等の手続きがあったり、シロクロを早くつけて調査を早期終了させたい意向から「修正」による訂正手続きを進めてくるものです。
しかし、お互いの主張が平行線であったり、課税側の指摘に対して何かしら疑義がある場合には、むやみに「修正」依頼に応じることなく、「更正」処分の手続きを取るよう課税側に要求することも大事な選択のひとつといえます。

ただし「ごもっとも」な内容の指摘まで修正に応じずいたずらに更正手続きを要求することは、互いの信頼関係を悪化させ問題をこじらせる(課税側も人間ですので・・)要因ともなりますので、その選択判断に対しては多くの方面から検討いただくことをお勧めいたします。

※注
この場合は、課税側に対し「更正の請求」という手続きを行うことになります。
「更正の請求」ができる期間は原則5年間となります。

  • 税務室
  • 室長
  • 税理士
  • 井出 清彦

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