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アメリカ税制改正

 2017 年12 月にアメリカで税制改革法案「Tax Cuts and Job Acts」が成立しました。法人税率が35%から21%へと大幅な引き下げを含む改正は、アメリカで事業を行っている日系企業にとって、また、本税制改正を機にアメリカへの事業進出を検討する日系企業にとっても大きな関心事かと思われ、本ブログにおいて数回にわたり改正内容を見ていきます。今回は法人税及び国際課税に関する主要な改正項目の概要を確認します。なお本記載内容は弊事務所が加盟するPrime Global のメンバファームであるClayton & McKervey(https://claytonmckervey.com/)のニュースレターに編集及びコメントをしております。

  1. 法人税関連の主要改正項目概要
    1. 法人税率の引き下げ

      最高35%の累進税率が適用される法人税率が、2018 年度より一律21%へ引き下げ。

    2. 20%税率のAMT(Alternative Minimum

      Tax:代替ミニマム税)廃止通常の法人税と各種優遇措置を所得計算上考慮せず計算したAMT のいずれか高い税額を納付する仕組みとなっていましたが、法人税率の引き下げにより2018 年度よりAMT は廃止されました。

    3. 特定の固定資産の即時償却

      2017 年9 月27 日以降に取得した特定の固定資産について100%即時償却が適用され、2022 年度まで継続されます。2023 年から段階的に償却率が減少していきます。

    4. 支払利息の損金算入制限

      過大支払利子税制に替わり、支払利息の控除制限が設けられました。制限額は受取利息+調整後課税所得(EBITDA)の30%の合計額となり、制限された支払利息は無期限の繰越が可能となります。

    5. 国内生産活動控除の廃止

      国内生産者に与えられていた適格米国生産活動利益の9%控除が廃止されました。

    6. 繰越欠損金(NOL)の繰越期限及び使用制限

      繰越欠損金の繰越期限が20年から無期限に延長される一方、繰越欠損金の繰戻還付制度は廃止されました。また繰越欠損金の控除額は課税所得の80%に制限されました。

    7. 研究開発費の資本化償却

      研究開発費は発生年度に即時費用化することができますが、2022 年以降の課税年度から研究開発費は資本化が強制され、その後5 年間(米国外の研究開発費は15 年間)で償却されます。

  2. 国際課税関連の主要改正項目概要
    1. 資本参加免税の導入

      従前は全世界所得課税方式により外国からの配当金についても35%の法人税率により法人税が課税されたのち、外国税額控除制度により二重課税を調整する課税方式でしたが、米国法人が10%以上の株式を保有する外国法人(10%外国法人)から受領する配当については免税所得となります。保有期間として配当支払日の365 日前から731日間に継続して365 日を超えて10%外国法人の株式を保有する必要があります。なお米国源泉の配当、配当支払国で損金算入となる配当は適用されません。

    2. 国外未配当利益に対する強制課税

      資本参加免税の導入に伴い、海外子会社に留保されている未配当利益については配当されたものとみなして一定の適用税率により一時に課税されます。

    3. グローバル無形資産低課税所得(Global Intangible Low-Taxed Income:GILTI)の導入

      無形資産の国外移転を防止する目的で導入され、特定外国子会社(CFC)の課税対象所得のうち、CFC の超過収益所得をアメリカ株主の所得に合算します。

    4. 国外無形資産所得(Foreign-Derived Intangible Income:FDII)控除の導入

      輸出関連企業への優遇措置として導入され、無形資産を所有する米国法人が獲得したFDII につき37.5%の所得控除を認める制度です。FDII に対する実効税率は13.125%((1-37.5%)×21%)と優遇されます。2026 年以降の所得控除率は21.875%に減少します。

    5. 税源浸食濫用防止税(Base Erosion and Anti Abuse Tax:BEAT)の導入

      大規模な多国籍企業(過去3 年間のグループの平均総収入が5 億ドルを超え、かつ、税源浸食率が3%以上もの)について、下記計算に基づく追加課税が導入されました。
      ① 修正課税所得(通常課税所得+税源浸食支払)×10%
      ② 通常法人税額(一定の税額控除適用前の税額。2026 年以降は税額控除適用後税額)
      ③ BEAT=①-②

参考情報
Tax Cuts and Job Acts に関するClayton & McKervey のニュースレター
https://claytonmckervey.com/insights/

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同族会社が発行する私募債に係る利子の取扱いについて

平成25年度税制改正により、少人数私募債の利子が源泉分離課税から総合課税の対象とされ、平成28年1月1日以後に支払われる利子から取扱いが変わりました。漠然と「同族会社の役員が受け取る私募債の利子=総合課税の対象」というイメージを持っていたのですが、実際には「役員かどうか」が判定基準ではありません。今回はその点について、具体例をまじえてご紹介します。

1.少人数私募債の利子の取扱い

同族会社が発行する少人数私募債の利子で、個人に対して支払われるものの取扱いは以下のようになります。

(1) その同族会社の判定の基礎となった株主等が支払いを受けるもの

支払時の源泉徴収 所得税15.315%(利子割は徴収不要)
所得税確定申告 総合課税として申告が必要

(2) 上記(1)以外の者が支払いを受けるもの

支払時の源泉徴収 所得税15.315%及び利子割5%
所得税確定申告 源泉分離課税により課税関係が完結するため申告は不要

ここで注意したい点は、総合課税の対象となる(1)の「同族会社の判定の基礎となった株主等」の範囲です。「同族会社判定の基礎となった株主等」とは、「特定個人」と「その親族等」と規定されていて、特定個人に該当するかどうかは、その同族会社の第1順位から第3順位の株主グループの所有割合の状況と、その人がどの株主グループに属しているかにより決まります(下記2参照)。

2.総合課税の対象範囲

(1) 特定個人

株主グループの所有割合の状況 特定個人
第1順位の株主グループの所有割合が50%超となる場合 第1順位の株主グループに属している株主等
第1順位と第2順位の株主グループの所有割合を合計した場合にその所有割合がはじめて50%超となるとき 第1順位又は第2順位の株主グループに属している株主等
第1順位から第3順位までの株主グループの所有割合を合計した場合にはじめて50%超となるとき 第1順位から第3順位のまでのいずれかの株主グループに属している株主等

(2) 特定個人の親族等

① 特定個人の親族
② 特定個人と婚姻の届出をしていないが事実上婚姻関係と同様の事情にある者
③ 特定個人の使用人
④ 上記①~③以外の者で、特定個人から受ける金銭等により生計を維持しているもの
⑤ 上記②~④の者と生計を一にするこれらの者の親族

3.具定例

(1) 前提

  1. X社:資本金1,000万円(100株/@10万円)で同族会社
  2. 株主構成
    ・代表取締役A氏 700万円(70株)
    ・取締役B氏 150万円(15株)
    ・取締役C氏 150万円(15株)
     ※A氏、B氏、C氏は親族等の関係にありません。
  3. X社は、平成27年3月に利付少人数私募債3千万円を発行しています。当該私募債はA氏、B氏、C氏が引き受けており、年2回、私募債に係る利息を受領しています。

(2) 特定個人の判定

A氏の所有割合が70%ですので、第1順位の株主グループの所有割合が50%超となります。したがって、第1順位の株主グループに属するA氏は特定個人に該当しますが、B氏及びC氏は特定個人には該当しないことになります。

(3) 利子の取扱い

支払時の源泉徴収 所得税確定申告
A氏 所得税15.315% 必要(総合課税)
B氏、C氏 所得税15.315%及び利子割5% 不要(源泉分離課税)

なお、上記例で、株主構成が下記の場合は、第1順位と第2順位の株主グループの所有割合の合計ではじめて50%超となりますので、第1順位と第2順位の株主グループに属するA氏とB氏が特定個人に該当し、C氏は特定個人には該当しないことになります。

  1. 株主構成
    ・代表取締役A氏 400万円(所有割合40%)
    ・取締役B氏 400万円(所有割合40%)
    ・取締役C氏 200万円(所有割合20%)

参考条文:租税特別措置法第3条第1項、同法施行令第1条の4第3項、同法施行規則第2条第2項

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地域経済を牽引する企業向けの設備投資促進税制の創設

平成29年度税制改正に関する「所得税法等の一部を改正する等の法律案」が平成29年2月3日に閣議決定され、国会に提出されました。

このたびの改正で地域経済を牽引する企業向けの設備投資促進税制の創設が盛り込まれていますので、紹介させていただきます。

本税制は、経済の成長力の底上げのために創設されたものであり、地域経済を牽引する地域中核企業による地域経済に波及効果のある高い先進性を有する新たな事業への設備投資に対して特別償却又は税額控除ができる制度となります。
対象事業のイメージとしては、地域固有の強みを生かした事業を想定しており、医療機器、航空機等の先端技術を活かした成長ものづくり分野、ビッグデータ、AI等の第4次産業革命関連分野、農水産品の海外市場獲得等の食関連・地域商社、新たなニーズをターゲットにした観光・商業、スポーツ活用ビジネスなどだそうです。

本税制は、
  1. 青色申告書を提出する事業者で「地域経済牽引事業の促進により地域の成長の基盤強化に関する法律」に基づき承認を得ている地域経済牽引事業者であること
  2. 「企業立地の促進等による地域における産業集積の形成及び活性化に関する法律」で規定される地域経済牽引事業の促進地域内において、特定地域経済牽引事業施設等(取得価額が2,000万円以上のもの)を新設又増設したこと(注1)
  3. 特定地域経済牽引事業施設等を構成する機械装置、器具備品、建物及びその附属設備並びに構築物の取得等をして、事業の用に供したこと
を要件とし、次の特別償却又は税額控除を選択適用が出来ることとなります。

対象設備 特別償却 税額控除
機械装置・器具備品 取得価額の40% 取得価額の4%
建物・建物附属設備・構築物 取得価額の20% 取得価額の2%

※対象資産の取得価額の合計額は100億円、税額控除額については、当期の税額の20%を限度となります。
特別償却については、所有権移転外リース取引により取得した特定事業用機械等は適用除外となります。

(注1)「企業立地の促進等による地域における産業集積の形成及び活性化に関する法律」の改正する法律案は平成29年2月28日に閣議決定され、国会に提出されています。

なお、企業立地の促進等による地域における産業集積の形成及び活性化に関する法律の改正を前提に、同法の改正法の施行の日から平成31年3月31日までの期間に適用をされます。また、特別償却の適用には、確定申告書等に償却限度額の計算書に関する明細書の添付明細の添付が必要とされ、税額控除の適用には、確定申告書等に取得価額、控除を受ける金額及び金額の計算に関する明細を記載した書類の添付が必要となります。
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  • 執行役員
  • 税理士
  • 池田 桂子

貸倒引当金の論点について

前回のブログでは貸倒損失の税務についてお話しさせていただきましたが、今回は関連の深い貸倒引当金について触れてみたいと思います。

金融商品会計基準上、貸借対照表に計上される金銭債権に付すべき金額は、債権の額からその種類に応じて定められた方法により適正に見積もられた「貸倒見積高」を控除したものとされており、企業の財政状態および経営成績を適切に表示するため、貸倒引当金の計上が求められています。また、「貸倒見積高」の算定方法について、特に問題が発生していない「正常債権」、貸倒リスクが高い「貸倒懸念債権」および債務者が破たん等している「破産更生債権等」の三つに債権を区分し、それぞれにその方法を定めています。

一方、法人税法では、債務確定基準による損金(費用および損失)の認識、課税の公平性の確保といった点から、貸倒引当金をはじめとする「引当金」の計上を原則として認めていません。
例外として、金融機関などの一定の業種並びに大会社及びその完全子会社に該当しない一定の中小法人については、貸倒引当金に繰り入れられた金額のうち「特段の定め」により算定された繰入限度額までの金額を損金算入することが認められています。
(残念ながら特定目的会社(TMK)は引当金繰入額の損金算入が認められている法人には該当しません。)
また、貸倒引当金繰入額の「損金算入限度額」については、貸倒リスクの高い「個別評価債権」と正常債権ともいわれる「一括評価債権」の二つに債権を区分し、それぞれにその計算方法を定めています。

以上のことからもわかりますように、会計と税務では貸倒引当金の計上が認められる法人の範囲と、認識される引当金の計算方法が異なっているためその経理処理に乖離が起きます。いわゆる「税会不一致」の代表例と言えるかと思います。

また、貸倒引当金でよく問題となるのが、個別評価金銭債権に該当するか否かの判断や、担保権や個人保証等により回収の見込があるか否かの判断かと思われます。以下、個別評価金銭債権とされる債権について主なものをあげてみます。


「長期棚上債権」

会社更生法の規定による更生計画認可の決定などの「特定事由」によりその弁済を猶予され、または賦払により弁済されるもの。
5年を経過する日までに弁済を受けることができない部分(担保権の実行等で回収見込がある部分はのぞきます)が貸倒引当金への繰入限度額となります。


「債務超過状態の継続による一部回収不能見込額」

債務超過の状態が相当期間(概ね1年以上とされています)継続し、かつ、一定の事由により、その一部につき担保権の実行等によっても回収の見込みがないと認められるもの。
当該回収不能見込み額が貸倒引当金への繰入限度額となります。


「形式基準による50%引当」

会社更生法の規定による更生手続開始の申立て、破産法の規定による破産の申立て、あるいは手形交換所による取引停止処分などの事実があったもの。
実質的な債権の金額から取り立て等の見込みがある部分を除いた金額の50%相当額が貸倒引当金への繰入限度額となります。


個別評価金銭債権については、それが認められるだけの事実が生じていることを、客観的な資料によって貸倒損失の実務と同様に立証する必要があります。また、確定申告書に引当金繰入限度額の計算に関する事項を記載する必要(申告書記載要件)があります。
  • 税務室
  • 室長
  • 税理士
  • 井出 清彦

貸倒損失の税務要件について

 年が明け、会計事務所が一年で一番の繁忙期に突入しております。

 この時期は源泉所得税の納付、法定調書の提出や償却資産の申告など、税務手続きのイベントが山盛り(特に今年はマイナンバー対応元年…)で、また、税制改正についての問合せも徐々にいただきはじめています。そしてさらには12月決算法人の決算業務のピーク(こちらが主ですが)も重なる時期であります。

 決算事前対応、決算処理にあたってご相談が多い事項のひとつに、「債権の貸倒処理の可否」があります。
 流動化・証券化といった案件におきましても、債務不履行となった貸付債権(金銭債権案件)や、退去テナントとの間の長期滞留賃料債権(不動産案件)などについて、「貸倒損失をいつ計上するか」、「計上した貸倒損失が税務上認められるか」といったご質問を受けることが多くございます。


 税務上の貸倒損失の計上基準については法人税法基本通達に以下の3つの態様が挙げられています。

「法律上の貸倒れ」

 債権の全部又は一部が法的な手続き(更生計画認可の決定や特別清算に係る協定の認可の決定など)によって切り捨てられた場合、その切り捨てられた金額は、その事実が発生した日の属する事業年度において損金の額に算入されます。


「事実上の貸倒れ」

 債権が法律上には消滅していないが、その債権に係る担保処分後の全額が、その債務者の資産状況、支払能力等からみて回収できないことが明らかになった場合には、その明らかになった事業年度において貸倒れとして経理処理し、損金の額に算入することが認められています。


「形式上の貸倒れ」

 売掛金等の営業債権(売掛債権)について、債務者との取引停止後1年以上経過したなどの場合には、その売掛債権の額から備忘価額(通常1円)を控除した残額を貸倒れとして経理処理し、損金の額に算入することが認められています。


 いずれの場合にも、債務者の状態や回収努力の経緯など、貸倒れと認められるだけの「事実関係」があったことを客観的な証拠により具体的に立証する必要があり、ご相談の多くはこの点についてとなります。
 また、損金として認められるための「手続き」も異なっていますが、留意点を一つ挙げますと、「法律上の貸倒れ」については、法的に債権の消滅が確定した時点(事実の発生した日)において損失計上が「強制」されていることです。
 たとえば、債権の精査をしてみたら債務者が前期より以前にすでに倒産手続きを完了して消滅していたことが発覚したといった場合には、消滅した事実があった日の属する期(前期以前)において(貸倒れの経理をしていなくとも)損金計上が強制されてしまいます。その事実を認識しながらも貸倒れに係る経理処理を翌期以降へ繰り延べた場合にも同様の扱いとなります。

 なお、貸倒れによる損失計上が認められない場合でも、貸倒引当金の計上により税務上損金を計上することができる可能性もあります。要件についてはお気軽にお問合せください。
  • 税務室
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  • 税理士
  • 井出 清彦

平成29年度税制改正大綱が発表されました

今年もあっという間に終わりが近づいてまいりました。
この一年でできたこと、できなかったこと。来年こそはと思うこと。様々ですが、皆さんはどのような思いで年の瀬を迎えられていらっしゃるでしょうか。

この時期は政府与党から来年度の税制改正大綱が発表される時期でもあります。今年も今月8日に「平成29年度税制改正大綱」が発表され、弊事務所でも税制改正への対応について検討をスタートいたしました。

今回も多種多様にわたる改正が盛り込まれていますが、
  1. 個人課税改革の第一弾として配偶者控除・配偶者特別控除の見直し
  2. 中堅・中小事業者の支援策として投資促進税制の拡充
  3. 近年の国際課税改革(BEPS対応)の一環として外国子会社合算税制の見直し
などに注目しております。

とくに外国子会社合算税制(タックスヘイブン(TH)対策税制)については抜本的な見直しとなるようで、既存の対応策についての見直しや新たに対応が必要となる事項も出てくることが考えられます。

主な改正内容としましては、TH対策税制の対象について、「子会社の租税負担割合や事業実態の有無といった『会社の外形』によって判断するアプローチから、個々の所得の内容や稼得方法といった『所得の内容』に応じて把握するアプローチへ」と改められております。また、租税負担割合が30%未満である外国関係会社で一定の要件に該当するものについては、親会社の申告時に当該外国関係会社の財務諸表等の添付による報告義務などが新たに課されています。

今後、法案としてさらに具体化されてまいりますが、別の機会にご紹介ができればと考えております。

今年一年、多くの方々から支えられ、ご愛顧を賜ってまいりました。この場をお借りしてお礼申し上げます。たいへんにありがとうございました。
来年もまた頑張って精進して参りますので、あたたかいご指導の程よろしくお願い申し上げます。
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医療費控除の特例(OTC医薬品)について

もう数日もしないうちに師走になりまして、あっという間に年の瀬を迎えます。税の世界では年末調整、法定調書、償却資産、さらに12月決算法人から個人確定申告、3月決算法人とイベントが続く時期がスタートします。 また、来年度の税制改正についても税制調査会での議論が本格化し始めております。来年度改正の目玉はいくつかありますが、個人的には所得税の所得控除制度がどう改正されるかが気になるところです。

その前に今年度制定された改正法で来年以降からスタートするもの、で役に立ちそうなものを一つご紹介いたします。個人所得税の医療費控除の特例として「セルフメディケーション税制」というものがスタートします。

これは、適切な健康管理の下で医療用医薬品からの代替を進める観点から、定期健康診断等を行っている個人が、スイッチOTC医薬品を購入した際にその購入費用について所得控除を受けることができるものです。

この「スイッチOTC医薬品」とは何かといいますと、「要指導医薬品及び一般用医薬品のうち、医療用から転用された医薬品」のことで、厚生省が指定する成分(全部で82あります。)を含むものを指します。

そして制度の対象となるのは、一年間の購入金額が1万2千円を超える部分(8万8千円が上限となります。)で、その超える部分の金額が所得の金額から控除されます。

また、スイッチOTC医薬品は従来の医療費控除の対象となる医薬品の購入にも該当しますので、他の医療費と合算した金額が10万円を超えるような場合には、従来の医療費控除とどちらか得なほうを選択して申告することが可能です(併用はできません。)。

従来の医療費控除は10万円を超える部分とハードルが高かったのですが、この制度なら今までより気軽に医療費控除制度を利用することができるかと思われます。

この特例についての詳しい内容や対象となる成分、品目については厚生労働省のホームページに案内がありますので参考になさってください。
http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000124853.html

まずは医者にも薬にもお世話にならないことが一番ですが、いざとなったときにはこの制度のことを思い起こしていただければ幸いです。
  • 税務室
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  • 井出 清彦

利子割の改正

既にご存じの方も多いと思いますが、平成25年度の税制改正により平成28年1月1日以後に支払いを受けるものから、利子について課される利子割の取扱いが変わりました。
まず、法人が受け取る利子については、平成28年1月1日以後に支払いを受けるものから利子割は徴収されないこととなりました。

利子の支払額や源泉徴収税額等の通知を受けていれば間違えることはないでしょうが、銀行の預金利息等について、入金額から割り戻して利息額を計算する場合には、利子割の5%を含めないで計算するよう注意が必要です。

また、個人が支払いを受ける利子については、平成28年1月1日以後に支払いを受けるものから、国債、地方債や上場公社債等の利子は、「特定公社債等の利子」として配当割が課されることとなり、「特定公社債等」以外の利子は、「一般公社債等の利子」として利子割が課されることとなりました。

配当割も利子割も、5%の税率で特別徴収されることは同じですが、配当割の申告納入先が支払いを受ける人の住所地であるのに対し、利子割の申告納入先は支払をする会社の事務所等の所在地であり、申告納入先が異なります。本来、利子割として申告納入すべきものを配当割として申告納入してしまったり、特別徴収する必要のないものについて申告納入してしまった場合には、申告納入した会社において還付請求の手続きが必要となります。


同族会社などの中小企業については、利子割の特別徴収義務者となるケースはそれほど多くはないと思いますが、少人数私募債を発行している場合には利子の支払時に特別徴収義務が生じます。

私募債の利子については所得税の課税方式が源泉分離課税であったため、総合課税による税率と分離課税による税率との差による節税策として用いられていましたが、平成25年度の税制改正により、同族会社が発行した社債の利子で同族会社の判定の基礎となった株主等が支払いを受けるものは総合課税の対象とされることとなり、この節税策は封じられることとなりました。

少人数私募債の利子についても、平成28年1月1日以後に支払われるものから取扱いが変わっていますが、この変更後の取扱いが少しわかりにくくなっています。
まず、原則的な取扱いとしては、少人数私募債の発行年月日によってそれぞれ次の取扱いとなります。

<平成27年12月31日以前発行分>

「特定公社債等の利子」として、配当割課税

<平成28年1月1日以後発行分>

「一般公社債等の利子」として、利子割課税

つまり、平成27年12月31日以前に発行したものに係る利子については、5%の税率で特別徴収して、支払いを受ける人の住所地に配当割を納入し、平成28年1月1日以後に発行したものに係る利子については、5%の税率で特別徴収して、発行会社の事務所等の住所地に利子割を納入することになります。

これだけであればとくに難しくはありませんが、発行者が同族会社である場合には、上記の取扱いとはならず、私募債の発行年月日にかかわらず、一律「一般公社債等の利子」として利子割課税の対象となります。

さらに、同族会社が発行した私募債に係る利子のうち、所得税で総合課税の対象となる同族会社の判定の基礎となった株主等が支払いを受けるものについては、利子割も配当割も徴収されないこととなります。
この場合、所得税の確定申告をすることによって、住民税の所得割が課税されることとなります。

以上、平成28年1月1日以後に同族会社が支払う私募債の利子についての源泉徴収や特別徴収の取り扱いをまとめると、下記のようになります。

<法人に対する支払い>

所得税(復興特別所得税含む)15.315%を徴収(利子割は徴収不要)

<個人に対する支払い>

  • 同族会社の判定の基礎となった株主等の場合

    所得税(復興特別所得税含む)15.315%を徴収(利子割は徴収不要)

  • 上記以外の場合

    所得税(復興特別所得税含む)15.315%及び利子割5%を徴収

節税策として私募債を発行していた同族会社の場合は、支払先が同族会社の判定の基礎となった株主等に該当するケースが多いと考えられますが、私募債の利子を支払う場合には、支払者は同族会社かどうか、同族会社である場合には、支払の相手先が誰であるかの確認が必要です。

  • 国際税務グループ
  • グループマネージャー
  • 税理士
  • 安田 智之

『あんたプロなんだろ!なんとかしろよ!』

私の大して長くない社会人経験で、クライアントから言われた一番衝撃的な言葉です。

 弊社で行っている主なサービスである「資産流動化(ファンドビジネス)」は、いろいろな方が関わって運営されています。案件を組成する「アレンジャー」、期中の運営管理に係る判断をされる「アセットマネージャー」、融資という形で資金調達をしてくださる「レンダー」、案件に投資して利益を得ようとする「投資家」など。この中で私たちは「プロフェッショナル」として、関係者の皆様のニーズを最大限満たし、案件の円滑な運営を行うことのできるよう、ご報告やご提案、場合によっては関係者間の調整などを行っています。
 このような業務をさせていただいている中で、非常に苦労させられることがあります。それは、「ニーズ(希望)を教えていただけないこと」と「現在の状況を十分に言っていただけないこと」です。

 皆さんが病気になってお医者さんにかかるとき、何も言わず、診察もしないで治療を受けることはないと思います。現在の体調や既往歴、あればアレルギーなどを説明した上で治療を受けると思います。あるいは、「先進医療を駆使して病状の完治をしたい」のか「保険の範囲内で出来る治療をしたい」のか等、治療に関しての希望を仰ることもあるかと思います。ご存知の通り、個人の状況に応じて病気の診療法がことなる場合…最悪、診療の効果が正反対になってしまう可能性があるからです。

 しかしながら、ビジネスを行うにあたって、弊社へ依頼をいただく際には「うまくやっておいて」というような曖昧なご依頼を受ける場合がしばしばございます。(ちなみにこちら、会社ですとよく上司と部下の間で見受けられるやりとりですが、「(部下が行うであろう対応について想定の上で)うまくやっておいて」というのと、「(いまいちよくわからないけど)うまくやっておいて」というのでは、対応の難易度が全く異なってくることは皆様ご存知かと思われます。)

 私たちもお医者さんと同じで、案件の状況や関係者の希望、法令や契約上の制約などを総合的に確認した上で出来る限りのご提案等をさせていただくようにさせていただきたいと思っています。しかしながら、いただいた情報が限られている場合にはご提案の内容が至極表面的、一般的なものにとどまったり、最悪クライアントの想定に反して損害を及ぼすようなものとなったりする可能性が出てきてしまいます。
このようなことのないよう、ご自身の希望や案件に係る状況をもれなく、詳しくお話していただきたいと思います。
「若造だから信用できない」などというご意見もあるかと思いますが、それでも餅は餅屋、社内の優秀な知恵を結集して回答をさせていただくよう、日々努力をいたしておりますので…。

なお、冒頭の言葉をいただいたクライアントからは今でも継続してお取引をさせていただいております。
  • ファイナンシャルビジネスサービスCグループ
  • スタッフ
  • 税理士
  • 池部 晃一郎

パナマ文書その後所感

世界を騒がせたパナマ文書騒動からもう4か月が経過しました。

日本での世界情勢ネタとしては、イギリスのEU脱退に完全にかき消されたような印象ですが、まだまだくすぶり続けているようです。

多国籍企業、有名政治家やスポーツ選手、俳優などがペーパーカンパニーを設立し租税回避のほか、蓄財したり、様々な取引に利用しているということで大騒ぎになりました。マスコミ報道にとっても格好の材料でした。
顧客名がエクセルで提供されていたこともあり、私どもも念のため弊社クライアントが含まれていないか目を通しましたが、幸いにも含まれていませんでした。一説によると、香港でこういったペーパーカンパニーが銀行口座付きで売買されており、しかも銀行口座はオフショアの本人確認の緩い銀行が使用されているそうです。

私どもの会計事務所でも証券化の案件で租税回避地、例えば英国領ケイマン諸島を使ったスキームも多々あります。それ自体違法性が問われることはないですが税優遇措置を設けることで新たな海外投資を呼び込みたい新興国と、それらを利用し複雑化することで規制の強化に追いつかなくしようとする利用者での思惑が一致し、今後も租税回避地はなくならないというのが一般的な見解のようです。

ただ、確かにこういった報道が流れると、掲載されているというだけでグレーならぬ黒との疑いがかかります。関与しているというだけで信用失墜は逃れないでしょう。また大々的に報道されて実名リストが税務当局の知るところになれば、税逃れか否かの判断のためにもいろいろと調査が入るはずです。

オフショア投資で税務上のメリットは享受できたとしても最近の報道の偏りなどを見ていると、ネット上でバッシングされることも多々あり、税金とは違うコストとして重くのしかかります。掲載された方は少なくとも胃が痛いはずです。現にアイスランドの首相はこのケースで罷免にまで追い込まれました。考えるべきは税金だけではなく、脱税に加担しているという世間からのレッテルや心理的負担を含めたトータルコストのマネジメントというべきでしょう。

  • 代表取締役社長
  • 公認会計士・税理士
  • 松澤 和浩

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