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消費税の免税点制度及び簡易課税制度の適用制限

平成28年度の税制改正において、免税点制度及び簡易課税制度が適用されない場合として、高額特定資産を取得した場合が追加されました。免税点制度や簡易課税制度は、小規模零細事業者の事務負担や徴税コストに配慮する観点から設けられているものですが、その趣旨に沿わない利用(いわゆる消費税還付スキームなど)に対処するため、ここ数年で次々と見直しが行われています。免税点制度及び簡易課税制度の主な適用制限についてまとめると次のようになります。

  • 免税点制度とは

    零細事業者の事務処理能力や徴税コストなどを考慮して、基準期間(*1)の課税売上高が1千万円以下の事業者(基準期間がない場合も含む)について納税義務を免除する制度をいいます。
  • 簡易課税制度とは

    消費税は本来、課税売上に係る消費税額から、課税仕入れに係る消費税額を控除して納税額を計算します(原則課税または一般課税といいます)。ただし、中小事業者の事務負担を考慮して、基準期間の課税売上高が5千万円以下である課税期間については、簡易課税制度選択届出書を所定の期日までに提出することで、課税仕入れに係る消費税額を、実際の金額ではなく、課税売上に係る消費税額を基礎とした簡便な方法により計算することが認められます。これを簡易課税制度といいます。
  • 免税点制度及び簡易課税制度の主な適用制限

    免税点制度や簡易課税制度の対象となる事業者であっても、下記に該当する場合は、その適用が制限されます。

 

課税事業者を選択した場合 課税事業者選択届出書を提出した日の属する課税期間の翌課税期間(提出日の属する課税期間が事業開始日の属する課税期間の場合は、その課税期間)から2年間は課税事業者が強制適用されます。
特定期間(*2)の課税売上高及び給与支払額が1千万円を超える場合 その課税期間は課税事業者となります。
新設法人(*3)に該当する場合 基準期間がない事業年度に含まれる課税期間は、課税事業者が強制適用されます。
特定新規設立法人(*4)に該当する場合 基準期間がない事業年度に含まれる課税期間は、課税事業者が強制適用されます。
上記①、③及び④により課税事業者が強制適用される課税期間中に調整対象固定資産(*5)の課税仕入れを行い、かつ、その仕入れた日の属する課税期間について原則課税で申告した場合 調整対象固定資産の課税仕入れを行った日の属する課税期間の初日から原則として3年間は課税事業者が強制適用されます。また、この期間中、簡易課税の適用を受けることもできません。
課税事業者が、原則課税で申告する課税期間中に、高額特定資産(*6)の課税仕入れを行った場合 高額特定資産の課税仕入れを行った日の属する課税期間の翌課税期間から、高額特定資産の課税仕入れを行った日の属する課税期間の初日以後3年を経過する日の属する課税期間までの各課税期間においては、課税事業者が強制適用されます。また、この期間中、簡易課税の適用を受けることもできません。
課税事業者が、原則課税で申告する課税期間中に、自己建設高額特定資産(*7)に係る建設等費用の課税仕入れ(免税事業者である課税期間、簡易課税の適用がある課税期間に生じたものは除く)の累計額が1千万円以上となった場合 自己建設高額特定資産に係る建設等費用の課税仕入れ(免税事業者である課税期間、簡易課税の適用がある課税期間に生じたものは除く)の累計額が1千万円以上となった課税期間の翌課税期間から、その建設が完了した課税期間の初日以後3年を経過する日の属する課税期間までの各課税期間においては、課税事業者が強制適用されます。また、この期間中、簡易課税の適用を受けることもできません。
  • (*1) 基準期間:個人事業者についてはその年の前々年、法人についてはその事業年度の前々事業年度をいいます。
  • (*2) 特定期間:個人事業者についてはその年の前年1月1日~6月30日、法人については、原則としてその事業年度の前事業年度開始の日以後6月の期間をいいます。
  • (*3) 新設法人:その事業年度の基準期間がない法人のうち、その事業年度開始日の資本金が1千万円以上の法人をいいます。
  • (*4) 特定新規設立法人:その事業年度の基準期間がない法人(新設法人を除く)のうち、5億円超の課税売上高を有する事業者により直接または間接に支配(発行済株式等の50%超を保有)される法人をいいます。
  • (*5) 調整対象固定資産:棚卸資産以外の資産で建物、構築物、機械装置等のうち、その税抜金額が100万円以上のものをいいます。
  • (*6) 高額特定資産:棚卸資産及び調整対象固定資産のうち、その税抜金額が1千万円以上のものをいいます。
  • (*7) 自己建設高額特定資産:棚卸資産もしくは調整対象固定資産として自ら建設等をした高額特定資産をいいます。

【注】上記は概要になりますので、詳細は法令等をご確認ください。
 
これらの他、相続、合併、分割があった場合なども注意が必要です。
適用制限が増えて、どんどんややこしくなっているように思います。いっそのこと免税点制度も簡易課税制度もなくして、全員課税事業者・原則課税にしてしまえばすっきりするのにな~なんて思うこともあります。もちろんそんな短絡的な話ではないのでしょうが。。。いずれにせよ、このような改正に対応できるよう日々勉強が必要です。
 

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  • グループマネージャー
  • 税理士
  • 岩崎 貴子

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