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株式を売買する際の取得費

本ブログ執筆時の日経平均株価は15,919.58円でした。
2015年12月末の日経平均株価が19,033.71円なので、約16%下落しています。
投資家の目線で考えると、株式投資されている方は、今年に入ってから約16%の損をしているといえます。
ただ、銘柄によっては株価が数倍に増えているものもあるので、このような状況下でも一部の投資家は資産を増やしていることと思います。
 
東京証券取引所などに上場する株式を、個人が売買する際の取得費について考えてみます。
株式を含む有価証券を購入した場合の取得費は、所得税法施行令第109条によって下記のように定められています。
購入した有価証券:その購入の代価(購入手数料その他その有価証券の購入のために要した費用がある場合には、その費用の額を加算した金額)
下記の例をもとに計算してみます。
 
(例)
・取得時の株価 1円
・取得株式数 100,000株
・売買を取り扱う証券会社への購入手数料 100円
・売却時の株価 1円
・売却株式数 100,000株
・売買を取り扱う証券会社への売却手数料 100円
・他の株式売買による当年の売買損益 300,000円
 
取得費 1円×100,000株+100円=100,100円
1株当たりの取得費 100,100円÷100,000株=1.001円
 
となり、1株当たりの取得費に端数が生じます。
この端数の処理に関しては別途規定(『租税特別措置法(株式等に係る譲渡所得等関係)の取扱いについて』37の10・37の11共-14)があるため、1円未満の端数は切り上げとなります。
上記の例の場合、1株当たりの取得費が2円となります。
 
この規定が適用されると面白いことになります。
 
上記の例における購入及び売却取引についての損益と資金の流れは、下記のようになります。

損益 資金の流れ
取得費 100,100円 取得時の支出 △100,100円
1株当たりの取得費 1.001円→2円 (1円×100,000株+100円)
端数調整後の取得費 △200,000円 売却時の入金 99,900円
(2円×100,000株) (1円×100,000株-100円)
売却時の株価 1円 源泉所得税還付 20,335円
売却株式数 100,000株 (100,100円×20.315%)
売却手数料 △100円 差引 20,135円
損益 △100,100円 (△100,100円+99,900円+20,335円)
(△200,000円+1円×100,000株-100円)

 
即ち、株価1円で取得した株式を株価1円で売却するだけで損失が発生し、他の株式取引等で利益が発生していれば、その利益発生時の源泉所得税相当額が還付されることになります。
 
なぜ、このような結果になるのか。
取得した株式については、株式の一部を売却することは可能なので、売却時の譲渡原価算出のため、1株当たりの取得費を算出する必要があります。
また、千円未満、百円未満、円未満などの端数処理については納税者有利になるような法制度になっています。
これらの状況が、このような結果につながると考えられます。
 
このように、税法上においては、株式売買の損益を計算するため、その取得費の取扱いについて定めています。
 
ただ、株式の本来の趣旨は売買することではなく、その株式発行会社を応援することだと思います。よって、もし応援するような会社があれば、その株式を長期保有し、株主総会などにも出席して、長期にわたって応援していきましょう。
 
6月は1年の中で一番多く株主総会が開催される月です。
 
 
 

  • ファイナンシャルビジネスサービスEグループ
  • グループマネージャー
  • 鈴木 悟史

修正にはご用心

普段、税の世界で使われている言葉は、「堅苦しい」「仰々しい」「とっつき難い」という印象をもたれることが多く、大事な内容であればあるほど、なるべく「聴きやすく」「理解しやすい」平易な言葉でご説明をするように心がけております。

そのような堅苦しい固有の言葉と同様に、もともと一般的に使われている言葉が税務でも使われることがあるのですが、その言葉が税務独特の重要な意味を持つことがあります。
たとえば「修正」という言葉。

普段もよくつかわれる言葉ですが、税務においても「修正」という手続きがあります。
これに似た「更正」という手続きがあるのですが、この「更正」と「修正」をほぼ同義で捉えられている方がいらっしゃいます。これら「修正」と「更正」は似て全く非なるもの、といえるものですので留意が必要です。

いずれの意味も「過去に提出された申告書に記載された所得金額、税額などをあるべき金額に訂正すること」を指しますが、その違いは以下のようになります。

「更正」→課税側が職権により申告書等をあるべき内容に訂正することで、納税者不利となる更正についてはその理由が更正通知書に付記されます

「修正」→納税側が自己の計算により、申告書等を「納税者不利な」あるべき内容に訂正することをいい、「納税者有利な修正」はあり得ません(注)

この差が顕著になるのは、税務調査等で課税側が不利となる指摘を受けた場合です。

「更正」により納税者不利となる訂正がされる場合、課税側は納税者に対しその理由を明確にする(理由の付記)必要があり、また、納税者の側は課税側の指摘(更正処分)に不服がある場合には不服申立てや訴訟といった「救済措置」を受けることができます。

一方、「修正」により訂正した場合には、課税側の指摘を納税側が「納得、認めて」手続きを行ったと判断されるため、以後の救済措置を受けることができなくなります。

課税側からすれば、更正理由の付記等の手続きがあったり、シロクロを早くつけて調査を早期終了させたい意向から「修正」による訂正手続きを進めてくるものです。
しかし、お互いの主張が平行線であったり、課税側の指摘に対して何かしら疑義がある場合には、むやみに「修正」依頼に応じることなく、「更正」処分の手続きを取るよう課税側に要求することも大事な選択のひとつといえます。

ただし「ごもっとも」な内容の指摘まで修正に応じずいたずらに更正手続きを要求することは、互いの信頼関係を悪化させ問題をこじらせる(課税側も人間ですので・・)要因ともなりますので、その選択判断に対しては多くの方面から検討いただくことをお勧めいたします。

※注
この場合は、課税側に対し「更正の請求」という手続きを行うことになります。
「更正の請求」ができる期間は原則5年間となります。

  • 税務室
  • 室長
  • 税理士
  • 井出 清彦

キャッシュレス社会と税

皆さんはご自分の財布に普段いくらくらいの現金を入れているでしょうか。
あるアンケートによれば、社会人の平均金額は1万3千円弱だそう。
最近ではそのほか財布におそらくクレジットカードや各種ポイントカード、プリペイドカードなど、またSuicaやPasmo、Edyといったいわゆる電子マネーがあるでしょう。

クレジットカードは1950年にアメリカで設立されたダイナースクラブを始まりに、その10年後には丸井百貨店が丸井のみで利用できる「クレジット・カード」を発行したのが日本でのクレジットカードの歴史であるようですから50年以上前ですね。
そして電子マネーとしては2001年にEdyが、2004年にJR東日本がSuicaをスタートしてから瞬く間に利用が広がり、本当に現金で支払う機会はだいぶ減ったのではないかと思います。
現金は持ち運ぶのに嵩張る、銀行で口座から引き出す必要がある(しかも時間帯によっては手数料を取られる!?) 、盗難の危険があるなどのデメリットがありますから、今後も非現金マネーの利用は広がっていくことでしょう。いわゆる「キャッシュレス社会」です。

キャッシュレスは利用者にとって便利だから広がっているというだけではありません。
日本政府として、2020年開催予定の東京オリンピック・パラリンピックを見据えて訪日観光客を増やす「観光立国」を目指す政策の一環としてキャッシュレス社会の推進を掲げています。

ところでクレジットカードや電子マネーの利用明細を眺めていてドキッとした経験はないでしょうか。
「あの時のレストランはこんなに高かったかな・・・」「この支払って何だろう・・・?」
不正利用をされてしまった可能性を除けば、いつどこで何に支払ったか、は電子データとしてきっちり記録されています。
また消費としての支払記録だけではなく、近年では銀行口座からの送金や受け取りも当然電子データとして記録され自分や自分の会社の取引をつぶさに見ることができますね。

これは自分で財産を管理するという観点から言えばとても利便性が高いのですが、第三者にも比較的簡単に把握されてしまう可能性が高いとも言えます。
例えばクレジットカード会社や電子マネーの発行会社が消費動向を把握することもできるでしょうし、悪意を持った者が他人の財産をどうにかしてしまおうということも考えられます。
「第三者」として国民の財産を把握したいのは悪者だけではありません。税金の「取りっぱぐれ」をできるだけ防ごうという政府にとっても電子記録はとても有用なものです。
人や企業がどこからお金を受け取りどう支払ったかという資金の流れが透明化されますので、悪意をもった取引の隠蔽は非常に難しいことになります。

さらに2015年10月からマイナンバーが国民1人につき1つ付与されることになりました。
2018年から銀行口座開設にもナンバーが必要になり、2020年を目処に銀行口座とマイナンバーの紐付けが義務化されることが決定されています。
特に飲食店の従業員さんや現金で賃金を受け取るような職種については、その現金の受け取りを政府に知られない様にする事はより一層難しくなっていくことでしょう。
銀行口座の入出金がマイナンバーとの紐付けにより明らかになるだけでなく、貯蓄税が開始されるのではないかという予測も囁かれ始めました。貯蓄の一定の残高に対して課税されるというものが貯蓄税です。

クレジットカードや電子マネーでの取引は全て記録化され、銀行口座の入出金はおろか
残高にも課税強化の波が押し寄せる・・・。
それなら現金取引にしてしまえばいいではないか、という考え方なのかはわかりませんが、
昨年あたりから家庭用金庫の売れ行きが好調だそうです。
2016年に入ってマイナス金利の影響もあり、どうせ持つならタンス預金が一番とばかりに現金保有が増えているのでしょう。
ただしもし本当に貯蓄税が導入されたとすれば、銀行に預金せず現金で持っていれば大丈夫でしょうか。
いやいや、きっと抜け穴は程なく塞がれるのが課税制度の常ですから、多額の現金を銀行口座から引き出して使途が明らかでなければタンス預金をしているとして「みなし貯蓄税」なんてものが設定されるかもしれませんね。
キャッシュレス社会化というのは生活が便利になる反面、今までよりも税金を多く払わなければいけないようなそんな状況を生み出すのかもしれません

  • 代表取締役副社長
  • 公認会計士・税理士
  • 粟国 正樹

メガソーラーの税金はどこへ

これまで発電事業を行う会社は一部の電力会社に限られており、その会計・税務処理は限られた会社や会計事務所が行っていました。
2012年の再生可能エネルギーの固定買取制度の開始に伴い、発電事業を行う会社が増えたことにより、その会計・税務処理は広く一般的に認識されるようになりました。
当社が100社前後のメガソーラーSPCを受託している中で、気になる部分について触れていきたいと思います。

メガソーラー案件は自治体が関与することも多く、自治体側からの要請によりSPCの本店をメガソーラーが所在する自治体に設けることが多くあります。一方で、特に関係者からの要請がないSPCについては、管理会社がオペレーションをしやすい場所(大半が東京都に集中している)に本店を設置しており、本店とメガソーラーの設置場所が異なるケースがあります。
メガソーラーに課せられる法人事業税において、複数の都道府県に「事務所又は事業所」を設けて事業を行う法人については、それぞれの都道府県に課税権があり、分割基準により事業税を分けることになります。この分割基準は業種により異なっており、電気供給業については固定資産の価格で分けることになっています。一見すると、広大な土地を利用しメガソーラー設備を設置している都道府県に多くの税額を払い、本店だけがある都道府県にはほぼ税額を納める必要がないため、合理的に見えます。

ただし、この分割基準は「事務所又は事業所」の固定資産の価格で分けることを前提としているため、メガソーラー設備がこの「事務所又は事業所」に該当するかによって分割方法が異なってきます。
ただ、結論としてメガソーラー設備はこの「事務所又は事業所」に該当しないため、本店所在地の都道府県に事業税の全ての課税権があることになります。
これは、「事務所又は事業所」の要件として、事業に対して役務を提供する人が存在する必要があり、メガソーラー設備の設置場所が無人の場合にはそもそも「事務所又は事業所」に該当しないためです。
法人住民税も同様に「事務所又は事業所」が存在しない場合には課されないため、メガソーラー設備の設置場所の自治体は、メガソーラー設備に対する償却資産税しか税収を得ることができないことになります。

メガソーラー事業は、人間ではなく発電設備が事業活動を行っているものの、その事業活動には設置場所の自治体のインフラが活用されていることは疑いがなく、その事業規模からもその設置場所に課税権があることが妥当と考えられますが、現状の税制では本店所在地にほぼ全ての納税がなされているのが実情です。

  • パートナー
  • 執行役員
  • 税理士
  • 山中 宏之

税制の三原則

税制の三原則は「公平・中立・簡素」と言われています。同等の経済力のある人に等しい負担を求める公平、個人や企業の様々な経済活動に対しての中立、制度の理解を容易にするための簡素、憲法で納税の義務を定めていますので、税制の根幹はこの三原則に支えられていることによって納税者の支持を得られるのではないかと思います。

租税特別措置法は、その時代の社会経済状況の合わせて一定の目的を達成するために設けられる特別な法律であり、税制三原則「公平・中立・簡素」の例外と言われています。少子高齢化が進み産業構造の転換などを推し進める政策手段の一つとして、また東日本大震災のような災害復興支援のために租税特別措置が設けられています。近年の法人税改正は諸外国と比較して高率と言われる法人税率を逓減しつつ課税ベースの拡大を図る方向を目指していますので、数ある租税特別措置もその効果等を測定して縮小又は廃止される方向にあります。

資産流動化・証券化分野で活用されている特定目的会社や投資法人は、多様な投資商品の提供を可能にし、資金供給を円滑化することを目的として平成10年に誕生した法人形態です。租税特別措置法の定めにより一定の要件を満たせば支払配当金を損金算入し、ビークルと投資家間の2重課税を排除する機能があります。これらの特別措置がどれくらい活用されているかご存知でしょうか?

特別措置 平成23年度 平成24年度 平成25年度
適用件数 適用総額
(億円)
適用件数 適用総額
(億円)
適用件数 適用総額
(億円)
特定目的会社 428 1,548 501 2,660 489 2,870
投資法人 71 1,580 76 1,960 90 2,542

上記は平成27年10月に会計検査院が「租税特別措置の適用状況の透明化等に関する法律」に基づき、租税特別措置の実態調査した結果を国会へ提出した「報告書」からの抜粋です。400件超の安定した適用件数で、特定目的会社による投資活動が浸透していることがうかがわれます。適用総額は3年間で約1千億円超の増加がみられますので、平成24年から利益確定による売却が進んできているのではないかと推測できます。

ちなみに適用件数、適用金額のトップは「中小企業者等の法人税率の特例」であり、平成25年度では適用件数約74万件、適用総額約2兆7千億円でした。減収額の尺度では「試験研究を行った場合の法人税額の特別控除」が6,240億円で、3年間で2倍強の伸びとなっています。

「公平・中立・簡素」の例外として数多くの租税特別措置が様々な政策目的を達成するために置かれていることが「報告書」からわかります。毎年の税制改正のみならず、その運用状況に関心を寄せることも税の仕事をする身として必要であると感じます。法人税申告書に添付する「適用額明細書」がしっかり活用されておりますので。

  • パートナー
  • 執行役員
  • 税理士
  • 宮里 猛

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