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地域経済を牽引する企業向けの設備投資促進税制の創設

平成29年度税制改正に関する「所得税法等の一部を改正する等の法律案」が平成29年2月3日に閣議決定され、国会に提出されました。

このたびの改正で地域経済を牽引する企業向けの設備投資促進税制の創設が盛り込まれていますので、紹介させていただきます。

本税制は、経済の成長力の底上げのために創設されたものであり、地域経済を牽引する地域中核企業による地域経済に波及効果のある高い先進性を有する新たな事業への設備投資に対して特別償却又は税額控除ができる制度となります。
対象事業のイメージとしては、地域固有の強みを生かした事業を想定しており、医療機器、航空機等の先端技術を活かした成長ものづくり分野、ビッグデータ、AI等の第4次産業革命関連分野、農水産品の海外市場獲得等の食関連・地域商社、新たなニーズをターゲットにした観光・商業、スポーツ活用ビジネスなどだそうです。

本税制は、
  1. 青色申告書を提出する事業者で「地域経済牽引事業の促進により地域の成長の基盤強化に関する法律」に基づき承認を得ている地域経済牽引事業者であること
  2. 「企業立地の促進等による地域における産業集積の形成及び活性化に関する法律」で規定される地域経済牽引事業の促進地域内において、特定地域経済牽引事業施設等(取得価額が2,000万円以上のもの)を新設又増設したこと(注1)
  3. 特定地域経済牽引事業施設等を構成する機械装置、器具備品、建物及びその附属設備並びに構築物の取得等をして、事業の用に供したこと
を要件とし、次の特別償却又は税額控除を選択適用が出来ることとなります。

対象設備 特別償却 税額控除
機械装置・器具備品 取得価額の40% 取得価額の4%
建物・建物附属設備・構築物 取得価額の20% 取得価額の2%

※対象資産の取得価額の合計額は100億円、税額控除額については、当期の税額の20%を限度となります。
特別償却については、所有権移転外リース取引により取得した特定事業用機械等は適用除外となります。

(注1)「企業立地の促進等による地域における産業集積の形成及び活性化に関する法律」の改正する法律案は平成29年2月28日に閣議決定され、国会に提出されています。

なお、企業立地の促進等による地域における産業集積の形成及び活性化に関する法律の改正を前提に、同法の改正法の施行の日から平成31年3月31日までの期間に適用をされます。また、特別償却の適用には、確定申告書等に償却限度額の計算書に関する明細書の添付明細の添付が必要とされ、税額控除の適用には、確定申告書等に取得価額、控除を受ける金額及び金額の計算に関する明細を記載した書類の添付が必要となります。
  • パートナー
  • 執行役員
  • 税理士
  • 池田 桂子

平成29年度税制改正大綱が発表されました

今年もあっという間に終わりが近づいてまいりました。
この一年でできたこと、できなかったこと。来年こそはと思うこと。様々ですが、皆さんはどのような思いで年の瀬を迎えられていらっしゃるでしょうか。

この時期は政府与党から来年度の税制改正大綱が発表される時期でもあります。今年も今月8日に「平成29年度税制改正大綱」が発表され、弊事務所でも税制改正への対応について検討をスタートいたしました。

今回も多種多様にわたる改正が盛り込まれていますが、
  1. 個人課税改革の第一弾として配偶者控除・配偶者特別控除の見直し
  2. 中堅・中小事業者の支援策として投資促進税制の拡充
  3. 近年の国際課税改革(BEPS対応)の一環として外国子会社合算税制の見直し
などに注目しております。

とくに外国子会社合算税制(タックスヘイブン(TH)対策税制)については抜本的な見直しとなるようで、既存の対応策についての見直しや新たに対応が必要となる事項も出てくることが考えられます。

主な改正内容としましては、TH対策税制の対象について、「子会社の租税負担割合や事業実態の有無といった『会社の外形』によって判断するアプローチから、個々の所得の内容や稼得方法といった『所得の内容』に応じて把握するアプローチへ」と改められております。また、租税負担割合が30%未満である外国関係会社で一定の要件に該当するものについては、親会社の申告時に当該外国関係会社の財務諸表等の添付による報告義務などが新たに課されています。

今後、法案としてさらに具体化されてまいりますが、別の機会にご紹介ができればと考えております。

今年一年、多くの方々から支えられ、ご愛顧を賜ってまいりました。この場をお借りしてお礼申し上げます。たいへんにありがとうございました。
来年もまた頑張って精進して参りますので、あたたかいご指導の程よろしくお願い申し上げます。
  • 税務室
  • 室長
  • 税理士
  • 井出 清彦

利子割の改正

既にご存じの方も多いと思いますが、平成25年度の税制改正により平成28年1月1日以後に支払いを受けるものから、利子について課される利子割の取扱いが変わりました。
まず、法人が受け取る利子については、平成28年1月1日以後に支払いを受けるものから利子割は徴収されないこととなりました。

利子の支払額や源泉徴収税額等の通知を受けていれば間違えることはないでしょうが、銀行の預金利息等について、入金額から割り戻して利息額を計算する場合には、利子割の5%を含めないで計算するよう注意が必要です。

また、個人が支払いを受ける利子については、平成28年1月1日以後に支払いを受けるものから、国債、地方債や上場公社債等の利子は、「特定公社債等の利子」として配当割が課されることとなり、「特定公社債等」以外の利子は、「一般公社債等の利子」として利子割が課されることとなりました。

配当割も利子割も、5%の税率で特別徴収されることは同じですが、配当割の申告納入先が支払いを受ける人の住所地であるのに対し、利子割の申告納入先は支払をする会社の事務所等の所在地であり、申告納入先が異なります。本来、利子割として申告納入すべきものを配当割として申告納入してしまったり、特別徴収する必要のないものについて申告納入してしまった場合には、申告納入した会社において還付請求の手続きが必要となります。


同族会社などの中小企業については、利子割の特別徴収義務者となるケースはそれほど多くはないと思いますが、少人数私募債を発行している場合には利子の支払時に特別徴収義務が生じます。

私募債の利子については所得税の課税方式が源泉分離課税であったため、総合課税による税率と分離課税による税率との差による節税策として用いられていましたが、平成25年度の税制改正により、同族会社が発行した社債の利子で同族会社の判定の基礎となった株主等が支払いを受けるものは総合課税の対象とされることとなり、この節税策は封じられることとなりました。

少人数私募債の利子についても、平成28年1月1日以後に支払われるものから取扱いが変わっていますが、この変更後の取扱いが少しわかりにくくなっています。
まず、原則的な取扱いとしては、少人数私募債の発行年月日によってそれぞれ次の取扱いとなります。

<平成27年12月31日以前発行分>

「特定公社債等の利子」として、配当割課税

<平成28年1月1日以後発行分>

「一般公社債等の利子」として、利子割課税

つまり、平成27年12月31日以前に発行したものに係る利子については、5%の税率で特別徴収して、支払いを受ける人の住所地に配当割を納入し、平成28年1月1日以後に発行したものに係る利子については、5%の税率で特別徴収して、発行会社の事務所等の住所地に利子割を納入することになります。

これだけであればとくに難しくはありませんが、発行者が同族会社である場合には、上記の取扱いとはならず、私募債の発行年月日にかかわらず、一律「一般公社債等の利子」として利子割課税の対象となります。

さらに、同族会社が発行した私募債に係る利子のうち、所得税で総合課税の対象となる同族会社の判定の基礎となった株主等が支払いを受けるものについては、利子割も配当割も徴収されないこととなります。
この場合、所得税の確定申告をすることによって、住民税の所得割が課税されることとなります。

以上、平成28年1月1日以後に同族会社が支払う私募債の利子についての源泉徴収や特別徴収の取り扱いをまとめると、下記のようになります。

<法人に対する支払い>

所得税(復興特別所得税含む)15.315%を徴収(利子割は徴収不要)

<個人に対する支払い>

  • 同族会社の判定の基礎となった株主等の場合

    所得税(復興特別所得税含む)15.315%を徴収(利子割は徴収不要)

  • 上記以外の場合

    所得税(復興特別所得税含む)15.315%及び利子割5%を徴収

節税策として私募債を発行していた同族会社の場合は、支払先が同族会社の判定の基礎となった株主等に該当するケースが多いと考えられますが、私募債の利子を支払う場合には、支払者は同族会社かどうか、同族会社である場合には、支払の相手先が誰であるかの確認が必要です。

  • 国際税務グループ
  • グループマネージャー
  • 税理士
  • 安田 智之

パナマ文書その後所感

世界を騒がせたパナマ文書騒動からもう4か月が経過しました。

日本での世界情勢ネタとしては、イギリスのEU脱退に完全にかき消されたような印象ですが、まだまだくすぶり続けているようです。

多国籍企業、有名政治家やスポーツ選手、俳優などがペーパーカンパニーを設立し租税回避のほか、蓄財したり、様々な取引に利用しているということで大騒ぎになりました。マスコミ報道にとっても格好の材料でした。
顧客名がエクセルで提供されていたこともあり、私どもも念のため弊社クライアントが含まれていないか目を通しましたが、幸いにも含まれていませんでした。一説によると、香港でこういったペーパーカンパニーが銀行口座付きで売買されており、しかも銀行口座はオフショアの本人確認の緩い銀行が使用されているそうです。

私どもの会計事務所でも証券化の案件で租税回避地、例えば英国領ケイマン諸島を使ったスキームも多々あります。それ自体違法性が問われることはないですが税優遇措置を設けることで新たな海外投資を呼び込みたい新興国と、それらを利用し複雑化することで規制の強化に追いつかなくしようとする利用者での思惑が一致し、今後も租税回避地はなくならないというのが一般的な見解のようです。

ただ、確かにこういった報道が流れると、掲載されているというだけでグレーならぬ黒との疑いがかかります。関与しているというだけで信用失墜は逃れないでしょう。また大々的に報道されて実名リストが税務当局の知るところになれば、税逃れか否かの判断のためにもいろいろと調査が入るはずです。

オフショア投資で税務上のメリットは享受できたとしても最近の報道の偏りなどを見ていると、ネット上でバッシングされることも多々あり、税金とは違うコストとして重くのしかかります。掲載された方は少なくとも胃が痛いはずです。現にアイスランドの首相はこのケースで罷免にまで追い込まれました。考えるべきは税金だけではなく、脱税に加担しているという世間からのレッテルや心理的負担を含めたトータルコストのマネジメントというべきでしょう。

  • 代表取締役社長
  • 公認会計士・税理士
  • 松澤 和浩

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