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地域経済を牽引する企業向けの設備投資促進税制の創設

平成29年度税制改正に関する「所得税法等の一部を改正する等の法律案」が平成29年2月3日に閣議決定され、国会に提出されました。

このたびの改正で地域経済を牽引する企業向けの設備投資促進税制の創設が盛り込まれていますので、紹介させていただきます。

本税制は、経済の成長力の底上げのために創設されたものであり、地域経済を牽引する地域中核企業による地域経済に波及効果のある高い先進性を有する新たな事業への設備投資に対して特別償却又は税額控除ができる制度となります。
対象事業のイメージとしては、地域固有の強みを生かした事業を想定しており、医療機器、航空機等の先端技術を活かした成長ものづくり分野、ビッグデータ、AI等の第4次産業革命関連分野、農水産品の海外市場獲得等の食関連・地域商社、新たなニーズをターゲットにした観光・商業、スポーツ活用ビジネスなどだそうです。

本税制は、
  1. 青色申告書を提出する事業者で「地域経済牽引事業の促進により地域の成長の基盤強化に関する法律」に基づき承認を得ている地域経済牽引事業者であること
  2. 「企業立地の促進等による地域における産業集積の形成及び活性化に関する法律」で規定される地域経済牽引事業の促進地域内において、特定地域経済牽引事業施設等(取得価額が2,000万円以上のもの)を新設又増設したこと(注1)
  3. 特定地域経済牽引事業施設等を構成する機械装置、器具備品、建物及びその附属設備並びに構築物の取得等をして、事業の用に供したこと
を要件とし、次の特別償却又は税額控除を選択適用が出来ることとなります。

対象設備 特別償却 税額控除
機械装置・器具備品 取得価額の40% 取得価額の4%
建物・建物附属設備・構築物 取得価額の20% 取得価額の2%

※対象資産の取得価額の合計額は100億円、税額控除額については、当期の税額の20%を限度となります。
特別償却については、所有権移転外リース取引により取得した特定事業用機械等は適用除外となります。

(注1)「企業立地の促進等による地域における産業集積の形成及び活性化に関する法律」の改正する法律案は平成29年2月28日に閣議決定され、国会に提出されています。

なお、企業立地の促進等による地域における産業集積の形成及び活性化に関する法律の改正を前提に、同法の改正法の施行の日から平成31年3月31日までの期間に適用をされます。また、特別償却の適用には、確定申告書等に償却限度額の計算書に関する明細書の添付明細の添付が必要とされ、税額控除の適用には、確定申告書等に取得価額、控除を受ける金額及び金額の計算に関する明細を記載した書類の添付が必要となります。
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貸倒引当金の論点について

前回のブログでは貸倒損失の税務についてお話しさせていただきましたが、今回は関連の深い貸倒引当金について触れてみたいと思います。

金融商品会計基準上、貸借対照表に計上される金銭債権に付すべき金額は、債権の額からその種類に応じて定められた方法により適正に見積もられた「貸倒見積高」を控除したものとされており、企業の財政状態および経営成績を適切に表示するため、貸倒引当金の計上が求められています。また、「貸倒見積高」の算定方法について、特に問題が発生していない「正常債権」、貸倒リスクが高い「貸倒懸念債権」および債務者が破たん等している「破産更生債権等」の三つに債権を区分し、それぞれにその方法を定めています。

一方、法人税法では、債務確定基準による損金(費用および損失)の認識、課税の公平性の確保といった点から、貸倒引当金をはじめとする「引当金」の計上を原則として認めていません。
例外として、金融機関などの一定の業種並びに大会社及びその完全子会社に該当しない一定の中小法人については、貸倒引当金に繰り入れられた金額のうち「特段の定め」により算定された繰入限度額までの金額を損金算入することが認められています。
(残念ながら特定目的会社(TMK)は引当金繰入額の損金算入が認められている法人には該当しません。)
また、貸倒引当金繰入額の「損金算入限度額」については、貸倒リスクの高い「個別評価債権」と正常債権ともいわれる「一括評価債権」の二つに債権を区分し、それぞれにその計算方法を定めています。

以上のことからもわかりますように、会計と税務では貸倒引当金の計上が認められる法人の範囲と、認識される引当金の計算方法が異なっているためその経理処理に乖離が起きます。いわゆる「税会不一致」の代表例と言えるかと思います。

また、貸倒引当金でよく問題となるのが、個別評価金銭債権に該当するか否かの判断や、担保権や個人保証等により回収の見込があるか否かの判断かと思われます。以下、個別評価金銭債権とされる債権について主なものをあげてみます。


「長期棚上債権」

会社更生法の規定による更生計画認可の決定などの「特定事由」によりその弁済を猶予され、または賦払により弁済されるもの。
5年を経過する日までに弁済を受けることができない部分(担保権の実行等で回収見込がある部分はのぞきます)が貸倒引当金への繰入限度額となります。


「債務超過状態の継続による一部回収不能見込額」

債務超過の状態が相当期間(概ね1年以上とされています)継続し、かつ、一定の事由により、その一部につき担保権の実行等によっても回収の見込みがないと認められるもの。
当該回収不能見込み額が貸倒引当金への繰入限度額となります。


「形式基準による50%引当」

会社更生法の規定による更生手続開始の申立て、破産法の規定による破産の申立て、あるいは手形交換所による取引停止処分などの事実があったもの。
実質的な債権の金額から取り立て等の見込みがある部分を除いた金額の50%相当額が貸倒引当金への繰入限度額となります。


個別評価金銭債権については、それが認められるだけの事実が生じていることを、客観的な資料によって貸倒損失の実務と同様に立証する必要があります。また、確定申告書に引当金繰入限度額の計算に関する事項を記載する必要(申告書記載要件)があります。
  • 税務室
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  • 井出 清彦

貸倒損失の税務要件について

 年が明け、会計事務所が一年で一番の繁忙期に突入しております。

 この時期は源泉所得税の納付、法定調書の提出や償却資産の申告など、税務手続きのイベントが山盛り(特に今年はマイナンバー対応元年…)で、また、税制改正についての問合せも徐々にいただきはじめています。そしてさらには12月決算法人の決算業務のピーク(こちらが主ですが)も重なる時期であります。

 決算事前対応、決算処理にあたってご相談が多い事項のひとつに、「債権の貸倒処理の可否」があります。
 流動化・証券化といった案件におきましても、債務不履行となった貸付債権(金銭債権案件)や、退去テナントとの間の長期滞留賃料債権(不動産案件)などについて、「貸倒損失をいつ計上するか」、「計上した貸倒損失が税務上認められるか」といったご質問を受けることが多くございます。


 税務上の貸倒損失の計上基準については法人税法基本通達に以下の3つの態様が挙げられています。

「法律上の貸倒れ」

 債権の全部又は一部が法的な手続き(更生計画認可の決定や特別清算に係る協定の認可の決定など)によって切り捨てられた場合、その切り捨てられた金額は、その事実が発生した日の属する事業年度において損金の額に算入されます。


「事実上の貸倒れ」

 債権が法律上には消滅していないが、その債権に係る担保処分後の全額が、その債務者の資産状況、支払能力等からみて回収できないことが明らかになった場合には、その明らかになった事業年度において貸倒れとして経理処理し、損金の額に算入することが認められています。


「形式上の貸倒れ」

 売掛金等の営業債権(売掛債権)について、債務者との取引停止後1年以上経過したなどの場合には、その売掛債権の額から備忘価額(通常1円)を控除した残額を貸倒れとして経理処理し、損金の額に算入することが認められています。


 いずれの場合にも、債務者の状態や回収努力の経緯など、貸倒れと認められるだけの「事実関係」があったことを客観的な証拠により具体的に立証する必要があり、ご相談の多くはこの点についてとなります。
 また、損金として認められるための「手続き」も異なっていますが、留意点を一つ挙げますと、「法律上の貸倒れ」については、法的に債権の消滅が確定した時点(事実の発生した日)において損失計上が「強制」されていることです。
 たとえば、債権の精査をしてみたら債務者が前期より以前にすでに倒産手続きを完了して消滅していたことが発覚したといった場合には、消滅した事実があった日の属する期(前期以前)において(貸倒れの経理をしていなくとも)損金計上が強制されてしまいます。その事実を認識しながらも貸倒れに係る経理処理を翌期以降へ繰り延べた場合にも同様の扱いとなります。

 なお、貸倒れによる損失計上が認められない場合でも、貸倒引当金の計上により税務上損金を計上することができる可能性もあります。要件についてはお気軽にお問合せください。
  • 税務室
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  • 税理士
  • 井出 清彦

平成29年度税制改正大綱が発表されました

今年もあっという間に終わりが近づいてまいりました。
この一年でできたこと、できなかったこと。来年こそはと思うこと。様々ですが、皆さんはどのような思いで年の瀬を迎えられていらっしゃるでしょうか。

この時期は政府与党から来年度の税制改正大綱が発表される時期でもあります。今年も今月8日に「平成29年度税制改正大綱」が発表され、弊事務所でも税制改正への対応について検討をスタートいたしました。

今回も多種多様にわたる改正が盛り込まれていますが、
  1. 個人課税改革の第一弾として配偶者控除・配偶者特別控除の見直し
  2. 中堅・中小事業者の支援策として投資促進税制の拡充
  3. 近年の国際課税改革(BEPS対応)の一環として外国子会社合算税制の見直し
などに注目しております。

とくに外国子会社合算税制(タックスヘイブン(TH)対策税制)については抜本的な見直しとなるようで、既存の対応策についての見直しや新たに対応が必要となる事項も出てくることが考えられます。

主な改正内容としましては、TH対策税制の対象について、「子会社の租税負担割合や事業実態の有無といった『会社の外形』によって判断するアプローチから、個々の所得の内容や稼得方法といった『所得の内容』に応じて把握するアプローチへ」と改められております。また、租税負担割合が30%未満である外国関係会社で一定の要件に該当するものについては、親会社の申告時に当該外国関係会社の財務諸表等の添付による報告義務などが新たに課されています。

今後、法案としてさらに具体化されてまいりますが、別の機会にご紹介ができればと考えております。

今年一年、多くの方々から支えられ、ご愛顧を賜ってまいりました。この場をお借りしてお礼申し上げます。たいへんにありがとうございました。
来年もまた頑張って精進して参りますので、あたたかいご指導の程よろしくお願い申し上げます。
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医療費控除の特例(OTC医薬品)について

もう数日もしないうちに師走になりまして、あっという間に年の瀬を迎えます。税の世界では年末調整、法定調書、償却資産、さらに12月決算法人から個人確定申告、3月決算法人とイベントが続く時期がスタートします。 また、来年度の税制改正についても税制調査会での議論が本格化し始めております。来年度改正の目玉はいくつかありますが、個人的には所得税の所得控除制度がどう改正されるかが気になるところです。

その前に今年度制定された改正法で来年以降からスタートするもの、で役に立ちそうなものを一つご紹介いたします。個人所得税の医療費控除の特例として「セルフメディケーション税制」というものがスタートします。

これは、適切な健康管理の下で医療用医薬品からの代替を進める観点から、定期健康診断等を行っている個人が、スイッチOTC医薬品を購入した際にその購入費用について所得控除を受けることができるものです。

この「スイッチOTC医薬品」とは何かといいますと、「要指導医薬品及び一般用医薬品のうち、医療用から転用された医薬品」のことで、厚生省が指定する成分(全部で82あります。)を含むものを指します。

そして制度の対象となるのは、一年間の購入金額が1万2千円を超える部分(8万8千円が上限となります。)で、その超える部分の金額が所得の金額から控除されます。

また、スイッチOTC医薬品は従来の医療費控除の対象となる医薬品の購入にも該当しますので、他の医療費と合算した金額が10万円を超えるような場合には、従来の医療費控除とどちらか得なほうを選択して申告することが可能です(併用はできません。)。

従来の医療費控除は10万円を超える部分とハードルが高かったのですが、この制度なら今までより気軽に医療費控除制度を利用することができるかと思われます。

この特例についての詳しい内容や対象となる成分、品目については厚生労働省のホームページに案内がありますので参考になさってください。
http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000124853.html

まずは医者にも薬にもお世話にならないことが一番ですが、いざとなったときにはこの制度のことを思い起こしていただければ幸いです。
  • 税務室
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  • 税理士
  • 井出 清彦

利子割の改正

既にご存じの方も多いと思いますが、平成25年度の税制改正により平成28年1月1日以後に支払いを受けるものから、利子について課される利子割の取扱いが変わりました。
まず、法人が受け取る利子については、平成28年1月1日以後に支払いを受けるものから利子割は徴収されないこととなりました。

利子の支払額や源泉徴収税額等の通知を受けていれば間違えることはないでしょうが、銀行の預金利息等について、入金額から割り戻して利息額を計算する場合には、利子割の5%を含めないで計算するよう注意が必要です。

また、個人が支払いを受ける利子については、平成28年1月1日以後に支払いを受けるものから、国債、地方債や上場公社債等の利子は、「特定公社債等の利子」として配当割が課されることとなり、「特定公社債等」以外の利子は、「一般公社債等の利子」として利子割が課されることとなりました。

配当割も利子割も、5%の税率で特別徴収されることは同じですが、配当割の申告納入先が支払いを受ける人の住所地であるのに対し、利子割の申告納入先は支払をする会社の事務所等の所在地であり、申告納入先が異なります。本来、利子割として申告納入すべきものを配当割として申告納入してしまったり、特別徴収する必要のないものについて申告納入してしまった場合には、申告納入した会社において還付請求の手続きが必要となります。


同族会社などの中小企業については、利子割の特別徴収義務者となるケースはそれほど多くはないと思いますが、少人数私募債を発行している場合には利子の支払時に特別徴収義務が生じます。

私募債の利子については所得税の課税方式が源泉分離課税であったため、総合課税による税率と分離課税による税率との差による節税策として用いられていましたが、平成25年度の税制改正により、同族会社が発行した社債の利子で同族会社の判定の基礎となった株主等が支払いを受けるものは総合課税の対象とされることとなり、この節税策は封じられることとなりました。

少人数私募債の利子についても、平成28年1月1日以後に支払われるものから取扱いが変わっていますが、この変更後の取扱いが少しわかりにくくなっています。
まず、原則的な取扱いとしては、少人数私募債の発行年月日によってそれぞれ次の取扱いとなります。

<平成27年12月31日以前発行分>

「特定公社債等の利子」として、配当割課税

<平成28年1月1日以後発行分>

「一般公社債等の利子」として、利子割課税

つまり、平成27年12月31日以前に発行したものに係る利子については、5%の税率で特別徴収して、支払いを受ける人の住所地に配当割を納入し、平成28年1月1日以後に発行したものに係る利子については、5%の税率で特別徴収して、発行会社の事務所等の住所地に利子割を納入することになります。

これだけであればとくに難しくはありませんが、発行者が同族会社である場合には、上記の取扱いとはならず、私募債の発行年月日にかかわらず、一律「一般公社債等の利子」として利子割課税の対象となります。

さらに、同族会社が発行した私募債に係る利子のうち、所得税で総合課税の対象となる同族会社の判定の基礎となった株主等が支払いを受けるものについては、利子割も配当割も徴収されないこととなります。
この場合、所得税の確定申告をすることによって、住民税の所得割が課税されることとなります。

以上、平成28年1月1日以後に同族会社が支払う私募債の利子についての源泉徴収や特別徴収の取り扱いをまとめると、下記のようになります。

<法人に対する支払い>

所得税(復興特別所得税含む)15.315%を徴収(利子割は徴収不要)

<個人に対する支払い>

  • 同族会社の判定の基礎となった株主等の場合

    所得税(復興特別所得税含む)15.315%を徴収(利子割は徴収不要)

  • 上記以外の場合

    所得税(復興特別所得税含む)15.315%及び利子割5%を徴収

節税策として私募債を発行していた同族会社の場合は、支払先が同族会社の判定の基礎となった株主等に該当するケースが多いと考えられますが、私募債の利子を支払う場合には、支払者は同族会社かどうか、同族会社である場合には、支払の相手先が誰であるかの確認が必要です。

  • 国際税務グループ
  • グループマネージャー
  • 税理士
  • 安田 智之

『あんたプロなんだろ!なんとかしろよ!』

私の大して長くない社会人経験で、クライアントから言われた一番衝撃的な言葉です。

 弊社で行っている主なサービスである「資産流動化(ファンドビジネス)」は、いろいろな方が関わって運営されています。案件を組成する「アレンジャー」、期中の運営管理に係る判断をされる「アセットマネージャー」、融資という形で資金調達をしてくださる「レンダー」、案件に投資して利益を得ようとする「投資家」など。この中で私たちは「プロフェッショナル」として、関係者の皆様のニーズを最大限満たし、案件の円滑な運営を行うことのできるよう、ご報告やご提案、場合によっては関係者間の調整などを行っています。
 このような業務をさせていただいている中で、非常に苦労させられることがあります。それは、「ニーズ(希望)を教えていただけないこと」と「現在の状況を十分に言っていただけないこと」です。

 皆さんが病気になってお医者さんにかかるとき、何も言わず、診察もしないで治療を受けることはないと思います。現在の体調や既往歴、あればアレルギーなどを説明した上で治療を受けると思います。あるいは、「先進医療を駆使して病状の完治をしたい」のか「保険の範囲内で出来る治療をしたい」のか等、治療に関しての希望を仰ることもあるかと思います。ご存知の通り、個人の状況に応じて病気の診療法がことなる場合…最悪、診療の効果が正反対になってしまう可能性があるからです。

 しかしながら、ビジネスを行うにあたって、弊社へ依頼をいただく際には「うまくやっておいて」というような曖昧なご依頼を受ける場合がしばしばございます。(ちなみにこちら、会社ですとよく上司と部下の間で見受けられるやりとりですが、「(部下が行うであろう対応について想定の上で)うまくやっておいて」というのと、「(いまいちよくわからないけど)うまくやっておいて」というのでは、対応の難易度が全く異なってくることは皆様ご存知かと思われます。)

 私たちもお医者さんと同じで、案件の状況や関係者の希望、法令や契約上の制約などを総合的に確認した上で出来る限りのご提案等をさせていただくようにさせていただきたいと思っています。しかしながら、いただいた情報が限られている場合にはご提案の内容が至極表面的、一般的なものにとどまったり、最悪クライアントの想定に反して損害を及ぼすようなものとなったりする可能性が出てきてしまいます。
このようなことのないよう、ご自身の希望や案件に係る状況をもれなく、詳しくお話していただきたいと思います。
「若造だから信用できない」などというご意見もあるかと思いますが、それでも餅は餅屋、社内の優秀な知恵を結集して回答をさせていただくよう、日々努力をいたしておりますので…。

なお、冒頭の言葉をいただいたクライアントからは今でも継続してお取引をさせていただいております。
  • クライアントリレーショングループ
  • スタッフ
  • 税理士
  • 池部 晃一郎

パナマ文書その後所感

世界を騒がせたパナマ文書騒動からもう4か月が経過しました。

日本での世界情勢ネタとしては、イギリスのEU脱退に完全にかき消されたような印象ですが、まだまだくすぶり続けているようです。

多国籍企業、有名政治家やスポーツ選手、俳優などがペーパーカンパニーを設立し租税回避のほか、蓄財したり、様々な取引に利用しているということで大騒ぎになりました。マスコミ報道にとっても格好の材料でした。
顧客名がエクセルで提供されていたこともあり、私どもも念のため弊社クライアントが含まれていないか目を通しましたが、幸いにも含まれていませんでした。一説によると、香港でこういったペーパーカンパニーが銀行口座付きで売買されており、しかも銀行口座はオフショアの本人確認の緩い銀行が使用されているそうです。

私どもの会計事務所でも証券化の案件で租税回避地、例えば英国領ケイマン諸島を使ったスキームも多々あります。それ自体違法性が問われることはないですが税優遇措置を設けることで新たな海外投資を呼び込みたい新興国と、それらを利用し複雑化することで規制の強化に追いつかなくしようとする利用者での思惑が一致し、今後も租税回避地はなくならないというのが一般的な見解のようです。

ただ、確かにこういった報道が流れると、掲載されているというだけでグレーならぬ黒との疑いがかかります。関与しているというだけで信用失墜は逃れないでしょう。また大々的に報道されて実名リストが税務当局の知るところになれば、税逃れか否かの判断のためにもいろいろと調査が入るはずです。

オフショア投資で税務上のメリットは享受できたとしても最近の報道の偏りなどを見ていると、ネット上でバッシングされることも多々あり、税金とは違うコストとして重くのしかかります。掲載された方は少なくとも胃が痛いはずです。現にアイスランドの首相はこのケースで罷免にまで追い込まれました。考えるべきは税金だけではなく、脱税に加担しているという世間からのレッテルや心理的負担を含めたトータルコストのマネジメントというべきでしょう。

  • 代表取締役社長
  • 公認会計士・税理士
  • 松澤 和浩

消費税の免税点制度及び簡易課税制度の適用制限

平成28年度の税制改正において、免税点制度及び簡易課税制度が適用されない場合として、高額特定資産を取得した場合が追加されました。免税点制度や簡易課税制度は、小規模零細事業者の事務負担や徴税コストに配慮する観点から設けられているものですが、その趣旨に沿わない利用(いわゆる消費税還付スキームなど)に対処するため、ここ数年で次々と見直しが行われています。免税点制度及び簡易課税制度の主な適用制限についてまとめると次のようになります。

  • 免税点制度とは

    零細事業者の事務処理能力や徴税コストなどを考慮して、基準期間(*1)の課税売上高が1千万円以下の事業者(基準期間がない場合も含む)について納税義務を免除する制度をいいます。
  • 簡易課税制度とは

    消費税は本来、課税売上に係る消費税額から、課税仕入れに係る消費税額を控除して納税額を計算します(原則課税または一般課税といいます)。ただし、中小事業者の事務負担を考慮して、基準期間の課税売上高が5千万円以下である課税期間については、簡易課税制度選択届出書を所定の期日までに提出することで、課税仕入れに係る消費税額を、実際の金額ではなく、課税売上に係る消費税額を基礎とした簡便な方法により計算することが認められます。これを簡易課税制度といいます。
  • 免税点制度及び簡易課税制度の主な適用制限

    免税点制度や簡易課税制度の対象となる事業者であっても、下記に該当する場合は、その適用が制限されます。

 

課税事業者を選択した場合 課税事業者選択届出書を提出した日の属する課税期間の翌課税期間(提出日の属する課税期間が事業開始日の属する課税期間の場合は、その課税期間)から2年間は課税事業者が強制適用されます。
特定期間(*2)の課税売上高及び給与支払額が1千万円を超える場合 その課税期間は課税事業者となります。
新設法人(*3)に該当する場合 基準期間がない事業年度に含まれる課税期間は、課税事業者が強制適用されます。
特定新規設立法人(*4)に該当する場合 基準期間がない事業年度に含まれる課税期間は、課税事業者が強制適用されます。
上記①、③及び④により課税事業者が強制適用される課税期間中に調整対象固定資産(*5)の課税仕入れを行い、かつ、その仕入れた日の属する課税期間について原則課税で申告した場合 調整対象固定資産の課税仕入れを行った日の属する課税期間の初日から原則として3年間は課税事業者が強制適用されます。また、この期間中、簡易課税の適用を受けることもできません。
課税事業者が、原則課税で申告する課税期間中に、高額特定資産(*6)の課税仕入れを行った場合 高額特定資産の課税仕入れを行った日の属する課税期間の翌課税期間から、高額特定資産の課税仕入れを行った日の属する課税期間の初日以後3年を経過する日の属する課税期間までの各課税期間においては、課税事業者が強制適用されます。また、この期間中、簡易課税の適用を受けることもできません。
課税事業者が、原則課税で申告する課税期間中に、自己建設高額特定資産(*7)に係る建設等費用の課税仕入れ(免税事業者である課税期間、簡易課税の適用がある課税期間に生じたものは除く)の累計額が1千万円以上となった場合 自己建設高額特定資産に係る建設等費用の課税仕入れ(免税事業者である課税期間、簡易課税の適用がある課税期間に生じたものは除く)の累計額が1千万円以上となった課税期間の翌課税期間から、その建設が完了した課税期間の初日以後3年を経過する日の属する課税期間までの各課税期間においては、課税事業者が強制適用されます。また、この期間中、簡易課税の適用を受けることもできません。
  • (*1) 基準期間:個人事業者についてはその年の前々年、法人についてはその事業年度の前々事業年度をいいます。
  • (*2) 特定期間:個人事業者についてはその年の前年1月1日~6月30日、法人については、原則としてその事業年度の前事業年度開始の日以後6月の期間をいいます。
  • (*3) 新設法人:その事業年度の基準期間がない法人のうち、その事業年度開始日の資本金が1千万円以上の法人をいいます。
  • (*4) 特定新規設立法人:その事業年度の基準期間がない法人(新設法人を除く)のうち、5億円超の課税売上高を有する事業者により直接または間接に支配(発行済株式等の50%超を保有)される法人をいいます。
  • (*5) 調整対象固定資産:棚卸資産以外の資産で建物、構築物、機械装置等のうち、その税抜金額が100万円以上のものをいいます。
  • (*6) 高額特定資産:棚卸資産及び調整対象固定資産のうち、その税抜金額が1千万円以上のものをいいます。
  • (*7) 自己建設高額特定資産:棚卸資産もしくは調整対象固定資産として自ら建設等をした高額特定資産をいいます。

【注】上記は概要になりますので、詳細は法令等をご確認ください。
 
これらの他、相続、合併、分割があった場合なども注意が必要です。
適用制限が増えて、どんどんややこしくなっているように思います。いっそのこと免税点制度も簡易課税制度もなくして、全員課税事業者・原則課税にしてしまえばすっきりするのにな~なんて思うこともあります。もちろんそんな短絡的な話ではないのでしょうが。。。いずれにせよ、このような改正に対応できるよう日々勉強が必要です。
 

  • ファイナンシャルビジネスサービス1グループ
  • グループマネージャー
  • 税理士
  • 岩崎 貴子

株式を売買する際の取得費

本ブログ執筆時の日経平均株価は15,919.58円でした。
2015年12月末の日経平均株価が19,033.71円なので、約16%下落しています。
投資家の目線で考えると、株式投資されている方は、今年に入ってから約16%の損をしているといえます。
ただ、銘柄によっては株価が数倍に増えているものもあるので、このような状況下でも一部の投資家は資産を増やしていることと思います。
 
東京証券取引所などに上場する株式を、個人が売買する際の取得費について考えてみます。
株式を含む有価証券を購入した場合の取得費は、所得税法施行令第109条によって下記のように定められています。
購入した有価証券:その購入の代価(購入手数料その他その有価証券の購入のために要した費用がある場合には、その費用の額を加算した金額)
下記の例をもとに計算してみます。
 
(例)
・取得時の株価 1円
・取得株式数 100,000株
・売買を取り扱う証券会社への購入手数料 100円
・売却時の株価 1円
・売却株式数 100,000株
・売買を取り扱う証券会社への売却手数料 100円
・他の株式売買による当年の売買損益 300,000円
 
取得費 1円×100,000株+100円=100,100円
1株当たりの取得費 100,100円÷100,000株=1.001円
 
となり、1株当たりの取得費に端数が生じます。
この端数の処理に関しては別途規定(『租税特別措置法(株式等に係る譲渡所得等関係)の取扱いについて』37の10・37の11共-14)があるため、1円未満の端数は切り上げとなります。
上記の例の場合、1株当たりの取得費が2円となります。
 
この規定が適用されると面白いことになります。
 
上記の例における購入及び売却取引についての損益と資金の流れは、下記のようになります。

損益 資金の流れ
取得費 100,100円 取得時の支出 △100,100円
1株当たりの取得費 1.001円→2円 (1円×100,000株+100円)
端数調整後の取得費 △200,000円 売却時の入金 99,900円
(2円×100,000株) (1円×100,000株-100円)
売却時の株価 1円 源泉所得税還付 20,335円
売却株式数 100,000株 (100,100円×20.315%)
売却手数料 △100円 差引 20,135円
損益 △100,100円 (△100,100円+99,900円+20,335円)
(△200,000円+1円×100,000株-100円)

 
即ち、株価1円で取得した株式を株価1円で売却するだけで損失が発生し、他の株式取引等で利益が発生していれば、その利益発生時の源泉所得税相当額が還付されることになります。
 
なぜ、このような結果になるのか。
取得した株式については、株式の一部を売却することは可能なので、売却時の譲渡原価算出のため、1株当たりの取得費を算出する必要があります。
また、千円未満、百円未満、円未満などの端数処理については納税者有利になるような法制度になっています。
これらの状況が、このような結果につながると考えられます。
 
このように、税法上においては、株式売買の損益を計算するため、その取得費の取扱いについて定めています。
 
ただ、株式の本来の趣旨は売買することではなく、その株式発行会社を応援することだと思います。よって、もし応援するような会社があれば、その株式を長期保有し、株主総会などにも出席して、長期にわたって応援していきましょう。
 
6月は1年の中で一番多く株主総会が開催される月です。
 
 
 

  • ファイナンシャルビジネスサービス3グループ
  • グループマネージャー
  • 鈴木 悟史

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